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IMFの時代は再びやってくるのだろうか?:世界を不幸にしたグローバリズムの正体 [経済]


世界を不幸にしたグローバリズムの正体

世界を不幸にしたグローバリズムの正体

  • 作者: ジョセフ・E. スティグリッツ
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2002/05
  • メディア: 単行本



左派経済学者の大物ジョセフ・スティグリッツが語るアジア通貨危機の回想。
IMFの指導が必ずしも短期的な経済回復に役立っていないことがよく分かる。また、本書は10年以上前の本なので、スティグリッツとIMFのどちらが長期的に見た時に正しかったかもよく分かる。

【目次】
序 最も不透明な機関IMFとアメリカ財務省の偽善
第1章 国際機関が約束したグローバリズムの恩恵
第2章 破られた約束
第3章 民営化・自由化の罠
第4章 東アジアの危機―大国の利益のための「構造改革」
第5章 誰がロシアを見捨てたのか?
第6章 アメリカを守る不公正な「公正」取引法
第7章 「中国の成功」と「ロシアの失敗」
第8章 収奪者たちの論理
第9章 世界を幸せにするグローバリズムの道


本書の内容はアジア通貨危機・ロシア危機などにおいて、IMFが危機に陥った国々へ融資の条件として突きつけた政策に対する批判である。
国ごとで色々な問題は有るのだが、一言でまとめると、IMFが指示する緊縮財政が国民生活と国家経済を結果的に悪い方向へ導いてしまっていることへの批判だ。

韓国やタイなどアジア通貨危機の時にIMFの支援を受けた国は多いので、IMFの処方箋には馴染みのある人も多いだろう。基本的には緊縮財政を徹底させ、確実に回収できる状況で貸付を行うのは有名な話だ。
だから、ネットの口が悪い人々はIMFを通じた融資は「取りっぱぐれがない」などと評価している。

もちろん、そうした手堅すぎる融資は貸す側の理論で成り立っているので、借りる側からすると様々な不都合が発生する。その発生した不具合は本書を見ると非常によく分かる。
本書を読めば、IMFにはもっとうまいやり方があるはずなのに……。と思わずにいられない

IMFの側からすると、放漫財政で破綻した国に貸付を行う以上、財政規律を優先しないと現実的には浪費されて終わってしまう。とか、東アジア・ロシア・南米など10年前に融資した国々は結果として経済成長を遂げているなどの反論は考えられるだろう。
IMFが正しかったのか、スティグリッツが正しかったのかは2014年を生きる読者が判断すればよいだろう。私はIMFが世間で言われているほど正しいとは思えなかったのだが……。

ユーロ危機・中国のシャドーバンキング問題など、新興国経済が揺れている現在だからこそもう一度過去を振り返っておくのは有意義だ。ここ数年はIMFが大活躍するような事態は幸いにも発生していなかったのだが、ここから数年はどうなるかわからないのだから。

☆☆☆(☆3つ)

他のBlogの反応はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/st43/20110726/1311643155
http://markethack.net/archives/51782103.html
http://blog.hix05.com/blog/2012/06/post-2620.html
http://46460707.at.webry.info/201208/article_17.html

本書はタイトルと中身がいまいち合っていない。
筆者の主張を読むと「グローバル化」を推奨した上で、グローバル化を行う上でのIMFのやり方にケチをつけている様に読めるのだが、タイトルはアンチ・グローバリズムのように書かれている。うーむ。






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