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原発削減には日米同盟の強化が必須:バークレー白熱教室講義録 文系のためのエネルギー入門 [科学]


バークレー白熱教室講義録 文系のためのエネルギー入門

バークレー白熱教室講義録 文系のためのエネルギー入門

  • 作者: リチャード・A・ムラー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/12/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



「白熱教室」シリーズの中ではダントツのわかりやすさ(難易度の低さ)を誇る本書。
眠たくなることもなく一気に読みきってしまうことが出来る。

【目次】
第1回 君なら、どのエネルギー源を選ぶ?
 なぜエネルギーについて学ぶべきなのか
 次世代のエネルギーを挙げてみよう ほか
第2回 クリーン・エネルギーを検証する
 じつはそんなにすごくない中国の太陽光発電
 太陽光発電はコストが下がりつづけている ほか
第3回 地球温暖化の真実
 熱を溜めて逃がさないブランケット効果
 地球に熱が閉じ込められている ほか
第4回 原子力を知る
 ガイガーカウンターでいろいろ測ってみよう
 放射線が目に見える!? ほか
第5回 エネルギーの未来―大統領に提言せよ
 送電の無駄を防げ!
 世界中にタダでゴミをまき散らすな! ほか


本書は、東日本大震災以降日本人なら殆どの人が考えたことが有るであろう、エネルギー技術の未来について、科学者のコンセンサスとなっている基本的な知識をわかりやすく伝えてくれる
例えば、本書を読めば次のような質問に自分なりに根拠を持って答えることが出来る。
原子力発電を全廃することは意味のある行動なのだろうか?
日本は太陽光発電の高額買取を実施したが、次世代発電として太陽光発電を推奨するのは理にかなっているのか?
CO2排出を食い止めるためにはどのようなエネルギーを使うべきなのか?
などなど。東日本大震災以降に多く出てきた政治的な意図を含んだ内容からは一線を画す純粋な科学的内容だ。

そして、本書でのポイントは3つ。
一つは、太陽光・地熱といったクリーンエネルギーの効率がいきなり高まることはないし、常温核融合等の未来の発電は早々実現しないということ。そのために、東日本大震災によって原子力を政治的に削減しなければいけなくなった日本では現状の延長線上でエネルギー政策を考える必要がある。
現状の延長線で行かないといけない以上、に火力発電を天然ガスに切り替えていくことが有効だし、天然ガスの価格を下げるためにも米国のシェールガスを安く入手する外交が重要だ。

二つ目は、アル・ゴアの映画「不都合な真実 」は大げさにせよ、二酸化炭素が地球温暖化を引き起こしているのは間違いないので、中国・インドと言った発展途上国に二酸化炭素排出削減を実施させなければならない。先進国の排出量は絶対量が少ないので、発展途上国に努力させないと何の意味もないのだ。

そして最後は、エネルギー政策を考える上で大事なのは発電や燃料の確保よりも、確保したエネルギーを効率的に使用することだ。
日本は米国に比べると自動車や家電の省エネは進んでいる方だが、まだまだ改善の余地がある。例えば、日本に多い木造住宅において断熱の効率を上げたり、送電網によるロスを回避するための改修・投資は有効だ。

このように、面白みもなければ一挙解決する万能作があるわけではないことが身にしみてわかるので、理想主義者には気に食わないかも知れないが、エネルギーを語るための第一歩としては非常に適切な内容。
エネルギーを確保するためにやらなければならないことがよく分かる。

☆☆☆☆(☆四つ)

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