すべての道はローマに通ず(ただし絶え間ないメンテナンスは必須):MarketHack流 世界一わかりやすい米国式投資の技法 [投資・マネー]
人気BlogであるMarketHackの筆者が書く投資法。
本書の特徴はインデックス投信へのドルコスト平均法でも、先物のデイトレードでも、ウォーレン・バフェット龍のBuy&Holdでもどんな方法でも成功する可能性がある。という方針で書かれていること。
確かに、ジム・ロジャーズ、ウォーレン・バフェット、ピーター・リンチ、ジョージ・ソロス等、投資で成功した人は多いが皆が皆同じ方法を取っているわけではない。どんな方法でも正しいやり方を採ったで才能と運に恵まれれば成功するというのが現実だろう。
本書はいい意味での勝てば官軍的発想で、広く投資で成功するためのヒントを書いている誠実な本といえるだろう。
【目次】 序章 1990年代のシリコンバレーとMarket Hack流投資術が編み出されるまで
1 Market Hack流投資術
営業キャッシュフローのよい会社を買え
保有銘柄の四半期決算のチェックを怠るな ほか
2 ポスト団塊ジュニア世代のネストエッグ戦略
ネストエッグ戦略を考える
賢いポートフォリオの組み方 ほか
3 デイトレーダーへの道
デイトレーダーになるために気をつけること
CFD取引で勝つために ほか
4 長期投資のコツ
長期投資のメリットを享受するために
ウィリアム・オニールについて ほか
5 2014年の投資機会
世界を巨視的に見れば
今、中国に何が起きているか ほか
本書の中身は大きく3つからできている。
一つ目は、投資をする際の基本的なチェックポイント。どこをチェックして会社を見ていけばいいのか?というところ。これはどんな投資法を取ったにしても必要となる基本的な知識だ。
二つ目は、代表的な投資手法と、その投資手法で気をつけるところ。例えば、インデックスをドルコスト平均法で積み立てるならば、期間と金額を決めて機械的に積み立てるということ。ドルコスト平均法を隠れ蓑にした単なるナンピン買いでは正しく手法を実施したことにはならない。
三つ目は、投資のTips。筆者の相場観やちょっとしたテクニックなどが紹介されている。これは時間が経てば陳腐化する内容もあるし、おまけみたいな扱いだ。
この内、一つ目の会社の見分け方はそれだけでお金を出していいほどの十分な内容。紹介されている内容がシンプルなので実用性が高いうえに、非常に有効な絞りこみツールになっているのだ。
これを知るだけでも本書を読んだ価値は十分にある。
そして、二つ目の代表的な投資手法とその基本的なやり方は、これから投資を始めようと思う人が、怪我を少なく自分に向いたやり方を見つけることの出来る良いガイドになるだろう。
ややネットスラングなどが入っていたりして、格調高い・アカデミックとは程遠い内容なのだが、その分実戦的に研ぎ澄まされた内容。投資で収入を補いたいと思う人は目を通していて損はない。
改善点としては、私が編集者だったならば、時事的な内容として「東京五輪」、「中国経済の失速」を入れているのに加えて「確定拠出年金」も入れるように筆者と相談していただろう。今年は大企業で確定拠出年金を導入する企業が多いという背景がある上に、筆者のホームグラウンド米国は確定拠出年金の本場なのだから……。
ただ、このように「もっとこういう論点を読みたい」と思える本はハズレのないいい本であることが多く、本書もその例外ではない。間違いなくオススメできる一冊だ。
☆☆☆☆☆(☆5つ。満点)
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