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日本の地図に対する意識:地図で読み解く日本の戦争 [歴史]


地図で読み解く日本の戦争 (ちくま新書)

地図で読み解く日本の戦争 (ちくま新書)

  • 作者: 竹内 正浩
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2013/10/07
  • メディア: 新書



戦争の原因を地図で探る内容(地政学的な内容)だと思って借りたら、戦争における地図の扱い方(ツールとしての地図)について書かれた内容だった。
そういった意味では期待はずれだったのだが、それでも面白い部分はあり、一気に読みきってしまった。

【目次】
第1章 地図と世界観
第2章 軍事と地図情報
第3章 外邦図と日清戦争
第4章 日露戦争と測量
第5章 シベリア出兵と大正期の地図
第6章 地図と情報戦
第7章 「大東亜戦争」と地図
第8章 自衛隊の地図


本書は江戸時代のシーボルト事件を導入にして、戦争・国防に関して日本人が地図というツールに対して持っていた意識を明らかにする。

メインは日清戦争・日露戦争から太平洋戦争までの大日本帝国の話なのだが、はっきり言って地図の扱い方がひどすぎる。

まず、地図の品質面では軍隊での使用を想定していない地図を作るため、現場で使えない縮尺(縮尺が大きすぎて目印がわからない)となっていたり、軍の作戦目標に地図作成が追いついておらず地図なしで進軍するような事態が頻発してしまう。
また、地図作成という生産体制に関しても、素人をいきなり現場にぶち込んで品質の低い地図を作ったり、軍隊の護衛なく隠密で測量を実施するために測量員が殺されたり、適当な測量が行われたりしてしまっている。

一言で言うと地図の軽視に尽きるのだが、その事象を通じて見えてくるものは更に根深い。現場と首脳陣の乖離やセクショナリズムに陥って全体を見ない視野の狭さなど……。今の日本で言われる弊害は戦前がか続いていたことがよく分かる。

新書なので簡単に読むことが出来る。トリビア的な面白さのある内容だ。

☆☆☆(☆三つ)

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