こういう芸風は評価しにくい:ジャパン・ラッシュ: 「デフレ縮小化」で日本が世界の中心となる [社会]
ジャパン・ラッシュ: 「デフレ縮小化」で日本が世界の中心となる
- 作者: 原田 武夫
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2013/12/06
- メディア: 単行本
日本株への強気を陰謀論で味付けした斬新な芸風。
日本株へのひたすらな強気だとエコノミストの武者陵司あたりが有名だが、それでもベースは経済学だ。
筆者がどの程度真剣に予想を当てようと考えているのかは不明だが、陰謀論を根拠に持ってくる発想は初めて見た。それでも、一応まともな出版社である東洋経済新報社から出てるのだから、一定程度の売上は上げているのだろう。なんとも複雑な事態だ。
【目次】
第1章 日本型「決断なきデフォルト」が世界モデルとなる日
2015年が日本にとっての「運命の年」
日本デフォルトのシナリオは描かれている ほか
第2章 遙かなるアルゼンチン・コネクション
かつて世界屈指の先進国だったアルゼンチン
「国債デフォルト・ビジネス」が当たり前の国 ほか
第3章 「フラット化」という罠、そして超大国の落日
ドル本位制を演出してきたロンドン・シティ
ワシントン・コンセンサスと世界の「フラット化」 ほか
第4章 偽りのイラン・イスラム革命
中東に関してあまりに無関心な日本人
欧米のエリートが思い描く「中東」 ほか
第5章 「審判の時」、そして日本の使命
ハワイに殺到している日本の富裕層
最も安全な資産逃避場所は日本という事実 ほか
本書での筆者のスタンスは2015年までは日本株式への強気の姿勢を示すというもの。不動産・債券よりも株式を強く推している。
この結果事態は比較的よくあるよみで、日銀が大幅緩和に踏み込んだのだから債券よりも株式が強くなるのはありうるストーリーだし、個人の投資に絞れば株式は効率で圧倒的に不動産を上回るので、日本株推しは世の中のエコノミストの中でもよくある意見だろう。
だが、筆者はその理由付けに欧州貴族層の陰謀論を持ってきている。
筆者がここ数年の経済状況を真剣に予測してその根拠付けに陰謀論を持ってきているのか、ただ単に日本推し+陰謀論が近年の世論的に受けると割りきっているのかは不明だが、私のような読者は陰謀論が出てきた時点で本書を読む気が一気に失せてしまった。
文字も大きめ、(経済を論じる本にしては)絵も多用していることから比較的本を読むことに慣れていない人をターゲットにしたマーケティングなのだろう。
筆者がどこまで割りきって書いているのかは不明だが、一定程度の成功はしているのだと思う。
少ないながらも存在する、本Blogの読者に対しては、陰謀論が好きな人にしかオススメできない内容だ。
☆(☆一つ)
他のBlogの反応はこちら。
http://mayuharu21.at.webry.info/201403/article_26.html
検索すると胡散臭そうなサイトがいっぱい上がるので、余りリンクを探せなかった……。
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