マイクロファイナンスの堕落:世界は貧困を食いものにしている [社会]
マイクロファイナンスで働いていた人の内部告発。
本当のところ、高利で少額の資金を融資するというマイクロファイナンスで本当に貧困から抜け出せるのか?
【目次】
第1章 汝、マイクロファイナンスを批判するなかれ
第2章 メキシコでの洗礼
第3章 モザンビークのボブ・ディランと私
第4章 モザンビークのもう一つの内戦
第5章 「先進」世界
第6章 ナイジェリアでは何かがおかしい
第7章 オランダでも何かがおかしい
第8章 法廷で
第9章 オランダ人を怒らせる
第10章 モンゴルから内部告発
第11章 『ニューヨーク・タイムズ』に出る
第12章 破綻、自殺、ムハマド・ユヌス
第13章 善人、悪人、貧乏人
高利で少額の資金を融資するというマイクロファイナンスで本当に貧困から抜け出せるのか?
答えはNo
以上、おしまい。
では、本書が成り立たないのだが、マイクロファイナンスの世界で働いていた筆者によると、マイクロファイナンスの多くは単なる高利貸しと変わらない。
先進国からの寄付という安い金利で調達した資金を貧困者に高利で貸してボロ儲けしているのが実態だ。
「貧困のない世界を創る」で語られているムハマド・ユヌスの理想とは真向から反するし、ユヌス自身もマイクロファイナンスの皮を被った高利貸しを非難しているのだが、そうした高利貸しが数多くなってしまっているのが現状だ。
加えて、マイクロファイナンスがブームになったことにより、マイクロファイナンスに投資することを目的とした慈善ファンドが欧米で多数立ち上がっていて、とにかく投資しなければならないファンドによって高利貸しマイクロファイナンスに資金が流入し続ける悪循環に陥ってしまっている。
もちろんマイクロファイナンスの成功例も数多いし、単なる援助よりもビジネスになるほうが素晴らしいのも事実。だが、このエントリでも紹介した、「最底辺のポートフォリオ ――1日2ドルで暮らすということ」でもあったように、貧困国の人が求めている金融サービスは、マイクロファイナンス以外のものであるように思えてならない。
ノーベル賞を受賞して華々しくデビューしたマイクロファイナンスの現在における負の側面としてぜひ読んでみて欲しい。
☆☆☆☆(☆四つ)
他のBlogの反応はこちら。
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