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普遍的な正義はありうるのか?:ハーバード白熱教室 世界の人たちと正義の話をしよう+東北大特別授業 [哲学]


ハーバード白熱教室 世界の人たちと正義の話をしよう+東北大特別授業

ハーバード白熱教室 世界の人たちと正義の話をしよう+東北大特別授業

  • 作者: マイケル・サンデル
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/12/29
  • メディア: 単行本



マイケル・サンデルが世界各国で公開講座を行った時の講義録。
哲学専攻のサンデル教授としては、「正義」は人類である以上共有しているはずで、どんな国であれ理解し合えるものだと考えているのだろう。

本当に世界のどの国とも「正義」を共有できるのか?
これは私が本書を手にとって確認したかった一番の中身だ。


【目次】
中国 北京
 大雪のあとの雪かきシャベル値上げはフェア?
 災害時の飲料水値上げは不当? ほか
インド ジャイプル
 親に子どもの性別を選ぶ権利はあるか?
 性的暴行はその他の暴力より悪質か? ほか
ブラジル サンパウロ
 サッカー・チケットの高値転売はOKか?
 病院の診察予約券の売買は許される? ほか
韓国 ソウル
 コンサート・チケットと診察予約券、ダフ屋行為はどこまでOK?
 大学の入学資格をオークションにかけてもよいか? ほか
「これからの復興の話をしよう」東北大特別授業
 東北の人は議論しないほうを選ぶ?
 仮置き場はどこへ置く? ほか


本書で講義録が公開されているのは中国・インド・ブラジル・韓国+日本の5カ国。
講義にはそれぞれの国でカラーが出ていて非常に興味深かった。

まず、マイケル・サンデルが問いかける、「お金で売買してはいけないものが有るのではないか?」。
この問に対しては、どこの国でもYesという答えが主流になる。
極端な市場原理主義や功利主義者が主流になっている国は存在しない。拝金主義と言われることの多い中国でもそうだ。

次に、上記理想に対しての現実はどうなっているかというと、この点は国によって大きな差が有るように感じられた。日本人の私から見ると、インドは男女差別に対する許容度が日本よりも緩いように思えるし、中国では私的利益の追求が日本ほど避難されないように思える。
このように、現実においては国々による差は大きいと感じられた。

では、世界のどの国とも「正義」を共有できるのか?
本書を読んだ感じでは、そうは思えなかったというのが正直なところだ。
確かに、根本的な部分では合意できるのだが、細部に対する認識が一致しないので、結局はローカルな文化の「正義」が幅を利かせていくように思えてしまう。

もちろん、上記結論は私の考えなので、人によっては異なった認識を持つ人もいるだろう。
私は「人間だから」で一緒にできないものを感じたというのが正直な感想だ。

☆☆☆☆(☆四つ)

他のBlogの反応はこちら。
http://kaihu.blog.ocn.ne.jp/amami/2014/05/post_3815.html
http://zarathustra.blog55.fc2.com/blog-entry-964.html
http://kensland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-15
http://ilikebook.seesaa.net/article/395076108.html






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