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日本は身軽に振舞うことが最善なのだが……。:文明の衝突と21世紀の日本 [社会]


文明の衝突と21世紀の日本 (集英社新書)

文明の衝突と21世紀の日本 (集英社新書)

  • 作者: サミュエル・P. ハンチントン
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2000/01
  • メディア: 新書



20世紀末に流行った「文明の衝突」の簡易解説版。

私が本書を手にとったのは、鈴置高史の「日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う」等の本を読んで日本・中国の見られ方を確認するため。
本書を改めて見返すと、東アジア情勢に補助線が一本惹かれたように感じられた。

【目次】 二十一世紀における日本の選択―世界政治の再編成
 冷戦後の世界
 パワーの構造
 文化および文明的観点から見た孤立国家・日本の特徴
孤独な超大国―パワーの新たな展開
 パワーをめぐる国際関係
 アメリカは慈悲深い覇権国ではない
 無法者の超大国 ほか
文明の衝突―多極・多文明的な世界
 多極化・多文明化する世界
 文明の性質
 現代の主要な文明 ほか


本書は言わずと知れた「文明の衝突」が元ネタなのだが、「文明の衝突」では日本は一国一文明として定義されている。

21世紀は文明間で戦争・競争が激化すると言われている中で、日本には味方も部下も存在しない。
それが米国の碩学の考え方だ。おそらく、ある程度のコンセンサスを得ている考えなのだろう。
その点を考えると、東アジアで中国が攻勢に出ていて、米国の世界覇権に挑戦しているにもかかわらず、米国が本気で日本に協力しないことも理解できる。

日本は同じ文明の影響下に有る国がないので、一国でこの複雑な文明競争に戦いを挑まなければならないのだ。

この点について、悪いことばかりとも思えるのだが、良い点も存在する。
日本は同じ文明の国がないので、どこかの国にとことんまで付き合う義理はない。
日本は一国一文明なので、同じ文明の国を助ける義理が無いため、その時時で最善と思う相手と組んでいけばいいのだ。

本書が主張する日本の最善戦略は、一国一文明の身軽さを活かして、素早い意思決定によって是々非々で組む相手を選択していくのがいいというもの。
正直、日本人には一番ハードルの高い戦略だと思う。

古い本だが、内容は未だに古びていないし、現在の国際情勢の理解にも十分活用できる。
特に、米国発の考え方なので、米国では一定の理解を得ているだろうという前提で読むと、国際情勢理解の役に立つはずだ。

☆☆☆☆★(☆4つ半)

他のBlogの反応はこちら。
http://blogs.yahoo.co.jp/kanekiyo0922/15610836.html
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