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地方の豪邸より東京のあばら家:年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学 [経済]


年収は「住むところ」で決まる  雇用とイノベーションの都市経済学

年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学

  • 作者: エンリコ・モレッティ
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2014/04/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



居住地がどれほど年収に影響するかを明らかにした一冊。
産業のない地域の大卒より、イノベーション産業が栄えている都市の高卒のほうがはるかに年収が高い。居住地は、大卒・高卒の壁を超える影響度で年収に影響するのだ。

【目次】
1. なぜ「ものづくり」だけではだめなのか
2. イノベーション産業の「乗数効果」
3. 給料は学歴より住所で決まる
4. 「引き寄せ」のパワー
5. 移住と生活コスト
6. 「貧困の罠」と地域再生の条件
7. 新たなる「人的資本の世紀」


本書のネタになっているのは米国での調査結果。
冒頭で書いたように、年収は住んでいる場所に左右される。

理由もきちんとあって、地域の外からお金を稼いでくることのできるイノベーティブな職が多い地域では、イノベーティブな職に有る高給取りが稼いだお金が地元で消費されるので、地元にある普通の職業(理容師・コック・清掃員など)にも恩恵が回るのだ。
日本の理容師がフィリピンの理容師より技術が高くなくても高い稼ぎを得られるのと同じ現象が、地域間でも起こっているのだ。

ここまではアタリマエのことだが、本書が凄いのは、そうした地域間格差の拡大を言い当てているところ。
コンピュータが発達して、だれでも出来るような仕事が機械かアウトソーシングによってどんどん先進国からなくなっている現在だと、他の地域から"外貨"を稼いでくることが出来る仕事は、非常に創造性の高い一部職業に限られてしまっている。
そうした創造性の高い職業ではプロフェッショナル同士の議論・意見交換が欠かせないので、そうした職業に従事する本当のプロは一部の地域に固まって住むことになる。このプロセスを通じて、地域間の勝ち組と負け組がはっきりしてくるのだ。

例えば、「採用基準」で京都大学の学生が使いにくいと書かれていたのは、本書で述べられているような現象の結果の一つだろう。

本書で書かれていることは、かなりはっきりとしつつ有ることであり、皆内心ではわかっているここかもしれない。だが、ここまではっきりと、かつ、背景のの理論までわかりやすく書かれている本書は、読んでいるだけで将来の姿がよりはっきりと映しだされてくる。
その経験には、本書の値段なりの価値が確実に存在する。

最後に日本人として気になったのは、住む都市が重要なのは理解できたが、都市の中でどこに住むかによっての影響がどのくらいかというのは気になるところ。
本書で言う都市の規模は、サンフランシスコ-サンノゼ都市圏と言った規模。日本でいうところの東京-横浜都市圏といったレベルだ。
東京の小岩に住むのか、練馬に住むのか、渋谷に住むのかと言った違いは言及されていない。
広い米国と違って、狭い日本に住む身としてはその点はやや気になった。

☆☆☆☆☆(☆5つ。満点)

他のBlog反応はこちら。
http://hanwashi.blogspot.jp/2014/05/blog-post_26.html
http://d.hatena.ne.jp/skymouse/20140903/1409676932
http://agora-web.jp/archives/1595452.html
http://okmtnbhr.seesaa.net/article/406041185.html
http://blogs.yahoo.co.jp/kawai4414/64811107.html
http://irvin.s12.xrea.com/blog/archives/2014/08/post_385.html
http://kogure.exblog.jp/20003431/

本書の結論に従うと、日本でなら間違いなく東京に住むべき。
とは言え、世界ランキングをつけると東京の順位は決して上のほうじゃないのが絶望的ですね……。






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