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日本人でも知らない食の現場:英国一家、ますます日本を食べる [エッセイ他]


英国一家、ますます日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)

英国一家、ますます日本を食べる (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)

  • 作者: マイケル・ブース
  • 出版社/メーカー: 亜紀書房
  • 発売日: 2014/05/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



このエントリで書いた「英国一家、日本を食べる」の続編。
二つでワンセットになっているところがあるので、読むからには是非両方合わせて読んで欲しい。

【目次】
1 魚屋の魚屋――東京・築地
2 MSG――東京・味の素社訪問
3 余すところなく食べる魚――焼津・カツオ
4 本物のワサビ――天城山・本ワサビ
5 道具街――東京・かっぱ橋
6 初めてにぎる鮨――東京・料理教室
7 料理サークル――京都・オムライス
8 禅の対話――京都・枯山水
9 失われた魂の森――高野山・精進料理
10 牛肉に抱く妄想――松阪・和牛
11 海女――志摩・真珠とサザエ
12 世界一の醤油――香川・27年物
13 フグに挑戦――下関・ふく
14 南国のビーチ――沖縄・牧志公設市場
15 世界一長寿の村――大宜味村・豆腐よう
16 身体にいい塩――沖縄・ぬちまーす

特別番外編 裸のつきあい――兵庫・城崎温泉

エピローグ――読者のみなさんへ


目次を見てもらえれば分かるように、本書は食材・流通・道具と完成した料理になる前の段階に焦点が当てられている。以下で目次を引用するように、前作は日本の料理にフォーカスされていたので、2つ合わせて読むことで、外国人ジャーナリストから見た日本の食の全体像が見えてくるのだ。

【参考:英国一家、日本を食べるの目次】
トシがくれた一冊の本―パリ
新宿・思い出横丁―東京1
相撲サイズになる料理―東京2
世界的な有名番組―東京3
特上級の天ぷら―東京4
ふたつの調理師学校の話
歌舞伎町のクジラ―東京5
カニとラーメン―北海道1
海藻のキング―北海道2
町家に泊まる―京都1〔ほか〕


そして、食材についての取材を記した本書では、日本人の私も知らない話がてんこ盛りだ。
前作は高級料亭にこそ行ったことはなくとも、日本人ならなんとなく想像がつく料理の話がメインだった。
そのため、「外国人から見た日本」という図式が強い本に仕上がっていた。
本書は「日本人でも知らない内容を外国人が取材した」本になっている。

味の素や築地市場の取材など、「外国人から見た日本」的な内容も楽しめるのだが、純粋に食材生産の現場についての取材本だと思って楽しむのが本書を味わい尽くすキモだろう。
焼津や下関の水産業の現場について、予備知識の無い筆者だから書けたのであろうエッセイは日本人でも新鮮な気持ちで楽しむことが出来る内容に仕上がっている。

クールジャパンなどと政府が旗を振っているが、過大評価も過小評価もしていない日本食の実力を知るためにも本書と前作「英国一家、日本を食べる」。是非合わせて読んで欲しい。

☆☆☆☆☆(☆5つ。満点)

他のBlogの反応はこちら。
http://mdspplus.ldblog.jp/archives/8531347.html
http://kiyatchi.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-2041.html
http://blogs.yahoo.co.jp/mhkamenao1959/11380873.html
http://bf.doorblog.jp/archives/39079841.html

私が本書を読んで気になったのは、日本食の関係者(伊豆のわさび生産者とか、キッコーマンの人とか)が、日本人のつくる日本食を特別なものと信じきっているところ。
中国産に対する受け答えなどから、日本のものは当然高品質という思いが伝わってくるのだが、その驕りがいつか足を救われるように思えてならない。外国で「日本食」を提供しているのは日本人だけではないのですし……。






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