外国人に外国の歴史を教えるということ:ハーバード白熱日本史教室 [歴史]
ハーバード大学で日本中世史を教えている筆者の記録。
日本の存在感が薄くなっている昨今において、日本史の講義を人気講座に押し上げた筆者が「外国の歴史を教えるということ」について語っており、非常に得るものの多い素晴らしい内容になっている。
【目次】
第1章 ハーバードの先生になるまで
(大学の専攻は理系だった
ハーバード大学に行こう! ほか)
第2章 ハーバード大学の日本史講義1―LADY SAMURAI
(サムライというノスタルジア
時代遅れの日本史 ほか)
第3章 先生の通知表
(キューと呼ばれる通知表
学生のコメントは役に立つ ほか)
第4章 ハーバード大学の日本史講義2―KYOTO
(アクティブ・ラーニング
地図を書こう! ほか)
第5章 3年目の春
(歴史は時代にあわせて書き換えられる
印象派歴史学 ほか)
本書のAmazonレビューを見ると、批判的な意見が多い。
Amazon特有の嫉妬や揚げ足取りなのだが、その比率が高めなのだ。
批判する人は、本書で語られる「歴史」が誤っている。とか、筆者が本書で語った問題意識はすでに日本の専門学会ではアタリマエのことだ。という批判が多い。
そういう人は本書の立ち位置と価値が理解できていない。
本書の価値は、外国の学生に対して外国の歴史を教えるという行為の価値と、その手法の工夫を知ることができるという点にある。
東京大学の学生でスペインの歴史を学ぶ人が少ないのと同じように、米国の一流大学で日本の歴史を学んでもらうのは難しい。そうした中で、以下に工夫して興味を持ってもらい、講座に足を運んでもらうか。その難関を乗り越えて多くの学生を集めた筆者の日本史への貢献は、国内で閉じているどんな大学者でも及ぶことができないものだ。
外国の人に外国の歴史を教える。
この難しい行為に立ち向かった筆者の工夫からは得るものがきっとあるはずだ。
☆☆☆☆(☆4つ)
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