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市場を無視した解決策はありえない:空き家問題 [社会]


空き家問題 (祥伝社新書)

空き家問題 (祥伝社新書)

  • 作者: 牧野知弘
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2014/07/01
  • メディア: 新書



構造的な建築費高騰で新築の不動産が高止まりしているのに、捨て値でも売ることができない空き家が増えている
経済学の素養がある人から見れば、誤植としか思えない一文だが、上記は現実にこの日本で起こっていることである。
日本の歪んだ不動産の現状がよく分かる一冊。

【目次】
第一章 増加し続ける日本の空き家
第二章 空き家がもたらす社会問題
第三章 日本の不動産の構造変革
第四章 空き家問題解決への処方箋
第五章 日本の骨組みを変える


本書に書かれている日本の現状、近未来は以下のとおり。
・地方は愚か、首都圏の不便な場所の不動産ももはや売れなくなって空き家化している。
・「不便な場所」と思われる場所は年々広がってきており、人口減少も止めようがないので、ますます空き家は広がっていく。
・他方で、「便利な場所」の代表である都心の高層マンションは建築費高騰が止まらずに右肩上がりで高くなる。
・首都圏は医療資源で弱点を抱えているので、いつまでも「便利」でいられるかわからない。

ここまでの現状は改めて聞くと衝撃的ではあるものの、どこかで聞いたことがある人も多いだろう。

だが、本書がすごいのは提示される解決策の方向性が面白いところだ。
まず、長嶋修などが言うような公的建築制限は無理だし、筋も良くないとして否定する。

その上で、民間の開発のように空きや予備軍の不動産を集約してマンションや大規模介護施設を建築することを提案している。

現在の法律では難しいのだろうが、方向性としては市場を重視したうえで空き家の発生を抑える非常に面白い案だと思う。社会主義国のような建築制限や、もはや終わった政策である一極集中解消を言い出していないことが素晴らしい。

その意味で、本書は現状対策ともにまっとうな空き家問題の一冊だと言える。
報道などで興味を持った人が手に取る最初の本としては最適だろう。

☆☆☆☆(☆4つ)

他のBlogの反応はこちら。
http://blogs.yahoo.co.jp/warabe401/63063953.html
http://d.hatena.ne.jp/taron/20150221/p2
http://blog.livedoor.jp/uzak1803/archives/1006669436.html
http://reconsider.blog.fc2.com/blog-entry-1484.html
http://mayuharu21.at.webry.info/201411/article_31.html
http://slowreader.seesaa.net/article/408873306.html

とりあえず、小規模住宅の税制優遇はさっさと取りやめるべき。
むしろ、小規模住宅にはピグー税をかけてこれ以上質の低い住宅が量産されないようにする方がいい。






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