改革を阻むのは誰の得になるのか?:雇用改革の真実 [社会]
労働法の教授が昨今問題になっている労働関連のワードに対する解説を書いた本。
タイトルと筆者からは労働法の机上の法的論議の書籍のように見えるが、経済学的なアプローチも多分に含まれており、ビジネスマンには非常にしっくりと来る作りになっている。
【目次】
第1章 解雇しやすくなれば働くチャンスが広がる
第2章 「限定正社員」が働き方を変える
第3章 有期雇用を規制しても正社員は増えない
第4章 派遣はむしろもっと活用すべき
第5章 政府が賃上げさせても労働者は豊かにならない
第6章 ホワイトカラー・エグゼンプションは悪法ではない
第7章 育児休業の充実は女性にとって朗報か
第8章 定年延長で若者が犠牲になる
上記目次を見てもらえればわかるように、本書で取り上げている労働関連のワードは、
「解雇規制緩和」、「限定正社員」、「有期雇用の自由化」、「派遣社員の規制緩和」、「ホワイトカラー・エグゼンプション」など、左派系・労働組合系が反対しそうなトピックがずらりと並ぶ。
事実、こうした施策の多くはメディアの反対で法制化が見送られてきた歴史を持つ。
だが、その反対が多くの労働者・庶民にとってプラスになったかどうかは非常に疑わしい。
多くの労働者にとっては、現在の解雇規制は緩和したほうがプラスになるし、ホワイトカラー・エグゼンプションはメリットのほうが多いはずだ。
と、こういったトーンの解説が続くので、イデオロギーに凝り固まった人には読み進めるのが苦痛だろう。
だが、多くのまっとうなビジネスマンや経済学的素養のある人からすると、ある種当たり前の解説が続き、自分の考えが非常識ではないことが非常によく分かる。
文章も非常に読みやすいので、これから社会にでる学生さんにもおすすめできる一冊だ
☆☆☆★(☆3つ半)
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