マンションが特別悪条件とは思えない。:限界マンション ―次に来る空き家問題 [その他]
最近増えてきた空き家本の一種。
ロジックは人口減から空き家の増を予言するもので、目新しさはあまりない。
本書は、一軒家ではなくマンションにターゲットを当ててるので、むしろマンションの活用についてのほうが興味深い内容だった。
【目次】
序章 マンションという住まいの末路
第1章 マンションの歴史――埋め込まれた時限爆弾
第2章 マンションの二つの老いと建て替えの現実
第3章 限界マンション化にどのように立ち向かうか
第4章 空き家問題の現在
終 章 空き家問題の今後の展開と限界マンション
本書の特徴は、マンションの最後を明確にしたうえで、建て替えの難しさを語るところにある。
実際に建て替えが難しいかどうかは疑問が残るのだが、マンションの建て替えには
①同意による建て替え
②都市再開発に伴う法定の建て替え
の二種類があり、それぞれの問題点・実例が書かれているのは非常に勉強になる。
確かに、空き家問題が切迫化していない現状では建て替えが難しいというのも非常によくわかる。
だが、筆者が主張する、空き家の急増した未来においても建て替えが難しく、公費で解体するしかないお荷物になるという未来には賛同できない。
一戸建てでもマンションでも同じだが、その立地に魅力と人気があれば、ビジネスになる民間も住民を増やしたい行政も協力して建て替えは何とでもなる(現に、いい立地の物件は建て替えが難しい今現在でもきっちりと立て替えられている)。
問題は、街自身の魅力がなくなり、人口流出が止まらないケース。
これはマンションだろうと一戸建てだろうとどうしようもない。
これからはそうした物件が増えるだろうが、マンションだからというよりも、住宅共通の問題であろう。
また、筆者はタワーマンションの維持管理を特に懸念しているが、東京の物件に限って言えば、タワーマンションは総じて理事会に優秀な人材を抱えており、立地にも優れていることから、むしろ一般の物件よりもきちんと維持されていく公算が高いように思える。
このように、「マンション」としての問題については、あまり鋭いと感じさせる内容ではないのだが、マンション建て替えの実例・空き家に関するデータについては非常に興味深いものがそろっている。
同じデータを見て、筆者と同じ結論にたどり着くかどうか。
考える材料としては面白い一冊だ。
☆☆☆(☆三つ)
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