時代遅れの権威は世にあふれてる:読まなくてもいい本」の読書案内:知の最前線を5日間で探検する [自己啓発]
「読まなくてもいい本」の読書案内:知の最前線を5日間で探検する (単行本)
- 作者: 橘 玲
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2015/11/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
最近の橘玲の集大成ともいえる本。
筆者は投資ネタを扱わなくなって、思想と科学の狭間についての本が多くなってきたのだけど、これを読めば近年の作品で言っていることの大半はカバーできる内容だ。
【目次】
1 複雑系
一九七〇年代のロックスター
「フラクタル」への大旅行
世界の根本法則
2 進化論
一〇分でわかる「現代の進化論」
「政治」と「科学」の文化戦争
原始人のこころで二一世紀を生きる
3 ゲーム理論
合理性とMAD
「行動ゲーム理論」は世界の統一理論か?
統計学とビッグデータ
4 脳科学
哲学はこれまでなにをやってきたのか?
フロイトの大間違い
「自由」はどこにある?
5 功利主義
「格差」のある明るい社会
社会をデザインする
テクノロジーのユートピア
本書のつくりは、筆者がここ数年で大きく進化したと思われる分野の最新情報を紹介して、その結果、時代遅れになった分野の本を「読まなくていい」とするのが基本路線だ。
で、筆者の考える分野は目次にある5つ。
この分野がなぜ選ばれたのかは明確じゃない部分もあるのだが、筆者が言うように時代遅れの本がそうとは気づかれずにまかり通っていることの多い分野であることは確かなのだろう。
文学の分野では時代にさらされて生き残ってきたものにはそれなりの質を持っているものが多いのだが、科学の分野では最新の内容のほうが基本的には優れている。
科学の分野だと気づいていない人が多いが、実際は科学で解明されているものは数多い。
これが筆者の言いたかったことなのだろう。
本書はわかりやすくて、筆者の本の中心的な位置を占めるのだろうが、惜しむらくは総集編的な書かれ方なので文章的な面白さではほかの本に劣る部分もある。
筆者の文章の面白さだけを追求したいならほかの本にも手を伸ばしてみるといいだろう。
☆☆☆☆★(☆四つ半)
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