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素人の意見に価値はない:「学力」の経済学 [社会]


「学力」の経済学

「学力」の経済学

  • 作者: 中室 牧子
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2015/06/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



タイトルは「経済学」になっているけど、本書の本質は統計。
統計によって、学問に関する様々な俗説・思い付きのウソを暴いていくのが本書の面白いところだ。
【目次】
第1章 他人の〝成功体験〞はわが子にも活かせるのか?
    - データは個人の経験に勝る
第2章 子どもを〝ご褒美〞で釣ってはいけないのか?
    - 科学的根拠に基づく子育て
第3章 〝勉強〞は本当にそんなに大切なのか?
    - 人生の成功に重要な非認知能力
第4章 〝少人数学級〞には効果があるのか?
    - エビデンスなき日本の教育政策
第5章 〝いい先生〞とはどんな先生なのか?
    - 日本の教育に欠けている教員の「質」という概念


このブログを書いているのは6月。
ちょうど株主総会のシーズンだが、1シーズンに複数の株主総会に出席すると、「人材育成がなってない」と質問をする株主とほぼ100%の確率で出会うことができる。
当然のことながら、その株主は教育の専門家だったり、確実なエビデンスに基づいて発言しているなんて言うことはなく、ただ単に「自分の思っている人材育成と違うことをやってる企業はけしからん」と言ってるだけなのだ。

これが経営戦略だったらつたないながらも理由を持って発言するだろうし、技術開発だったらそもそも素人が質問をしようとは思わない。
ところが、教育に関してはどんな素人でも自分が教育を受けた経験を持っているので、適当なことを言えてしまう。
これが教育政策を語るうえで難しいところだ。

この状況は公教育にも当然のように当てはまり、声が大きい政治家やマスコミ受けのする素人の意見によって公教育の方向性が形作られることになる。

もちろん、そんな思い付きで十分な成果をあげられる可能性は極めて低い。
本書が警鐘を鳴らすのはそのような状況に対してで、エビデンスに基づいた費用対効果の高い教育を実施するべきだと主張している。
その主張を裏付ける例として、少人数学級の効果や子育て時に役に立つ教育投資の内容などを根拠付きで紹介している。

本書で紹介されている内容は、見たことがあるものもそうでないのも混ざってはいるが、本書の主張するエビデンスに基づいた教育というコンセプトは一点の文句もなく賛同できる。
本書を読んで、本当の教育の効果を目の当たりにしてみることは誰にとってもお勧めできる。
本書はそんな一冊だ。

☆☆☆☆★(☆四つ半)
他のBlogの反応はこちら
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