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地方は消費地である。:地方都市を考える 「消費社会」の先端から [社会]


地方都市を考える  「消費社会」の先端から

地方都市を考える 「消費社会」の先端から

  • 作者: 貞包 英之
  • 出版社/メーカー: 花伝社
  • 発売日: 2015/10/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



地方都市について、できるだけ「邪念」なく考える。

こう書かれているように、本書は地方都市の現状を分析した一冊。

「地方再生はどうすべきか?」とか「沈没する地方にしがみつくな」とか、自分の主張に合わせた改善策を語る書籍は数多いが、フラットに地方の現状を見ようとする本書のような本は貴重である。
また、内容も(左派系の引用が多く)好みは別れるだろうが示唆に富むもので、読んでみて損はない一冊だ。

内容がフラットなだけに、本書を読んで何を思うかは非常に分かれそうな内容ではあるのだが。
【目次】
第1章 地方都市に住まう。
第2章 地方都市を移動する。
第3章 地方都市に招く、地方都市で従う。
第4章 地方都市で遊ぶ、地方都市で働く。


本書を読んでまず思ったのは、地方の状況がますます東京の感覚と離れてきているということ。

確かに、以前でも地方は車中心社会であり、鉄道駅の周辺ではないロードサイド店・ショッピングモールなどが地域の重要な商業施設であるというところは理解していた。
ところが、本書によると地方はすでに次のステップに進み、公共施設(図書館・病院・役所機能など)を併設した自治体主導の再開発によるショッピングモール建設などが行われているとのこと。
車離れが著しく、鉄道駅の周辺の地価がどんどん上がっている東京とは全く別の方向を向いている。

また、なぜそのような事象が生じているのか?
という点についても、本書は納得の行く答えを挙げている。
地方の2大権力者層の一つであった大企業・官公庁の支社長(出先機関の長)が居なくなり、もう一つの中小企業経営者も力をなくしてきている中で、地方をビジネスの主体として考えたり、地域振興に深くコミットする人が居なくなる中で、地方は”消費の場”になっているとするのが筆者の見立てである。

デフレ化が進んだこともあり、活力の無くなった地方経済の雇用でも生活することは不可能ではない。
その中で、安く消費の楽しみを得るというのが今の地方における主流の考え方であり、地方の政治・経済はその観点で回っているのだ。

上記要約ではうまく伝えきれている自信はないので、このエントリを見た人は是非本書を読んでみてほしい。
読んで損はない一冊といえる。

最後に、地方はこれからどうなるのか?
地方に住む人、東京に住む人はどう向き合っていくのか?
この答えは本書では示されていない。
私は本書を読んで思うこともあるのだが、それを書くとエントリを複数新しく作ることができるぐらいの分量になってしまうので、ここでは記載しない。
ただ、地方の今の姿が長く続くことはない。と言うのは強く思われた一冊。
今まさに、地方の行政・経済の転換点が来ていることが感じられる内容だ。

☆☆☆☆★(☆4つ半)

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