政府の対策はまずまずまとも:それで寿命は何秒縮む? [科学]
福島第一原発事故の放射性物質の危険性を他の食品の危険性と比べることで、理解できるような気持ちにしてくれる一冊。
タバコ一本で縮む寿命は12分。
一杯のコーヒーで縮む寿命は20秒。
福島県産の露地モノほうれん草で縮む寿命は0秒~13秒。
単純化しすぎているきらいはあるし、今の科学に基づいた情報なので今後のアップデートは十分ありうるのだが、科学的に正確性を保とうとする本書の姿勢には好感が持てる。
【目次】
〔予習編〕 誤解を避けるための最低限の予備知識
第1章 ママさん必見! いろいろな飲み物・食べ物の損失余命
第2章 知らずにしている、なっている…あなたの行動・体質の損失余命
第3章 ホンネで解説! やっぱり気になる放射線リスクの損失余命
〔復習編〕 自分なりの「リスクの相場観」をつくるときの注意点
本書の構成はプレゼンテーション形式に近く、
タバコ:喫煙1本あたり12分。
と、縮む寿命が出てきた後に、その根拠がわかり易い言葉でかかれている。
数式や論文の引用は出てこずに、たとえば、ワイドショーに興味をもつような人々でも理解できる言葉でかかれている。
そうした本書によると、現在の規制下における放射性物質のリスクは大したことがなく、
運動不足、肥満、タバコと言った健康診断で医師に指摘される事項に比べたら誤差の範囲でしか無い。
反原発、反放射能を言いながら、喫煙しているような人は行動が完全に矛盾しているといえるだろう。
非常にわかりやすくて誰にでも理解できる内容の本書なのだが、
反原発の活動に参加しているような信念に凝り固まったような人には、本書の内容は納得してもらえないだろう。本書のメインターゲットはワイドショーなどで取り上げられた断片的な情報に不安を持つ(思想的に偏向ししていない)一般の人。
そういう人には向いている一冊だろう。
本書は2016年9月の発売なので時期的には厳しいのだろうが、私が編集者なら豊洲の土壌汚染についても同じように分析して盛り込んでみたかった一冊。
筆者は福島の人で東京の問題にはあまり興味もないのだろうし、本書自体が商売っ気が満載の本ではないのは理解するが、マーケットとしてみれば豊洲に漠然とした不安を持つ人なんかはドンピシャのターゲットのはずなのだが……。
☆☆☆☆(☆4つ)
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