ポリティカル・コレクトネスの落日:言ってはいけない 残酷すぎる真実 [社会]
橘玲の一昔前の代表作は「お金と人生」をテーマにした作品。集大成は「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ」か「臆病者のための億万長者入門 (文春新書)」。
そこから路線変更を初めて、最近の筆者のテーマは遺伝進化論。
本書はその集大成とも言うべきエッセンスを、一番わかりやすく書いている。
本書は誤読されやすい内容でもあるのだが、非常に考えさせられる良い内容である。
【目次】
I 努力は遺伝に勝てないのか
1:遺伝にまつわる語られざるタブー
2:「頭がよくなる」とはどういうことか――知能のタブー
3:知識社会で勝ち抜く人、最貧困層に堕ちる人
4:進化がもたらす、残酷なレイプは防げるか
5:反社会的人間はどのように生まれるか
II あまりに残酷な「美貌格差」
6:「見た目」で人生は決まる――容貌のタブー
7:あまりに残酷な「美貌格差」
8:男女平等が妨げる「女性の幸福」について
9:結婚相手選びとセックスにおける残酷な真実
10:女性はなぜエクスタシーで叫ぶのか?
III 子育てや教育は子どもの成長に関係ない
11:わたしはどのように「わたし」になるのか
12:親子の語られざる真実
13:「遺伝子と環境」が引き起こす残酷な真実
本書で筆者が一番言いたいであろうことは、ポリティカル・コレクトネスの面から正しいとされていることが科学的な裏付けがあるとは限らないということ。
一番顕著なのは学力についてで、世間的には努力によって学力は際限なく向上するという主張が”正しい”とされている。
が、実際には学力については遺伝によるところが多く、同じ努力でも学力の向上する割合は異なっている。スポーツ選手の子供が体格的に優れていて筋力も向上しやすいのと同じぐらいには学力も遺伝しているのが真実なのだ。
ここで誤読してほしくないのは、筆者は遺伝が学力が劣る人は勉強しなくてもいいと言っているわけではなく、遺伝を前提とした上での努力は筆者も否定していない。
ポリティカル・コレクトネスの圧力は年々高まる一方だが、ポリティカル・コレクトネスは決して真実ではない。多くの人が円滑に暮らしていく技術としては重要なのだが、それを信奉するあまりに科学的真実と混同する人が多いのが昨今。
遺伝という誰でも逃げることの出来ない真実を理解した上で、人生に向き合うことを説く本書は「言ってはいけない」が「知っておかなくてはならない」内容がいっぱい詰まった良書と言えるだろう。
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