多数決は過去の遺物か:「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する [数学]
「決め方」の経済学―――「みんなの意見のまとめ方」を科学する
- 作者: 坂井 豊貴
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/07/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
母集団の意見をより忠実に反映する決め方は何か?
というテーマについて論じた一冊。
小学校のころから当たり前のように使われている多数決は数学的には母集団の意見を正確に反映できない。
多数決を使うことにどんな問題があって、より正確な母集団の意見の反映に向いた決め方は何か?
これらについて書かれた非常に面白い一冊だ。
完全ではないが、答えに近い統計学:完全独習 ベイズ統計学入門 [数学]
統計学の二冊目:本当にわかりやすいすごく大切なことが書いてあるごく初歩の統計の本 [数学]
本当にわかりやすいすごく大切なことが書いてあるごく初歩の統計の本
- 作者: 吉田 寿夫
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 1998/11
- メディア: 単行本
統計学の初歩の教科書。
細かな数学的証明は省いているものの、数学に基づいた考え方がされているので、道具として使う前の原理確認に非常に向いている。
「統計学が最強の学問である」あたりを読んだ人が、実際に統計を使う前に数学的な背景を知るためにはいい内容だと思う。
ビッグデータはなんのため?:ナンバーセンス ビッグデータの嘘を見抜く「統計リテラシー」の身につけ方 [数学]
ナンバーセンス ビッグデータの嘘を見抜く「統計リテラシー」の身につけ方
- 作者: カイザー・ファング
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 2015/01/29
- メディア: 単行本
最近ではすっかり定着してきた感のあるビジネス用語”ビッグデータ”。
だが、ビッグデータのはやりとともに、統計のいい加減な分析やごまかしのリスクも増加してきている。統計をごまかすのはどういうやり方があるのか?ごまかすつもりはなくともトンチンカンな結果を導く統計分析にはどんなパターンがありうるのか?統計はどこまで役に立つのか?
そんな疑問に答えてくれる一冊が本書だ。
内容としては統計を対象にした本なのだが、「統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門」などと違い、本書を読むにあたっては、数学的な素養は全くいらない。
統計を駆使してくる部下に対して違和感を表明するべき上司の立場に立った時にどうすればよいのか?がよく分かるわかりやすい書き方をしてくれている。
シャベルで野球をする人々:食える数学 [数学]
娘や息子が「数学科に進みたい」と言った時に、あなたは「食えないから考えなおしなさい」と言うだろうか?
もしそう言うとした場合、レベルとしては二つ有る。
一つは純粋に数学科の就職が難しいと思っている段階。さすがに、最近の大卒者ではこのような考えの人は少なくなってきたかもしれないが、一昔前はこういう人も結構居た気がする。
本書のターゲットになっているのはもう一つ上の段階。
「数学科に進みたい」と言われた時に、将来は投資銀行家か、アクチュアリーか、データサイエンティストか。なんて考えていると、実は数学科で学ぶ数学はそのような実利を志向していなかった……。このような食い違いがなぜ発生するのか?数学科で学ぶ数学とはどういったものなのか?を文系の人間にもわかりやすく書いているのが本書。非常に読み応えの有る一冊だ。
本物の数学の楽しみ:数学ガール [数学]
見た目以上に骨がある:マンガでわかる統計学 [数学]
「その数学が戦略を決める」を読んで、統計学に興味を持ったため手に取ったのが本書。
表紙の見た目はB級の臭い全開だが、本書は見た目以上に骨がある。
数学を通じてみた日本の一面:雪月花の数学 [数学]
数学を通じてみた日本の文化論。
本書を読んでみても、数学としての知識が増えることは無いので、数学の本というよりも日本文化についての本として読むのが正解。
余談だが、本書は図書館では「数学」に分類されていた。著者は数学の教師だそうだが、この本を「数学」の本に分類する分類法は疑問である。
黄金比(≒1:1.6)をご存知の方は多いかもしれない、少なくとも名前だけは聴いたことのある人が多いであろう。しかし、この本によると日本文化で多用されていた比率は白銀比(=1:√2≒1:1.4)であるとのこと。動的な印象を与える黄金比が西洋で多用されているのと違い、静的な印象を与える白銀比がわが国では古来から使用されてきた。
その例として、筆者が挙げているものは大工道具の曲尺、法隆寺、華道、俳句…さまざまなものに白銀比が見られ、古来より日本人はそれを美しいと感じてきたと論を展開する。
このような見方は一面では「こじつけ」であろう。しかし、日本古来の美に白銀比を発見し、北斎の動的な浮世絵には黄金比を見つけるというものの見方が出来るのは、数学の楽しみであろう。そして、数学の素養の無い私が読書を通じて、そのような数学家のものの見方を味わう楽しみに触れることが出来るのが、本書の価値である。
☆☆☆(☆三つ)