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人の心にある弱さ、行き過ぎを描く:楊令伝 六 徂征の章 [小説]


楊令伝 六

楊令伝 六

  • 作者: 北方 謙三
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2008/07/24
  • メディア: 単行本



楊令伝第1巻のエントリはこちら
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-06-07
楊令伝第2巻のエントリはこちら
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-06-15-2
楊令伝第3巻のエントリはこちら
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-07-12
楊令伝第4巻のエントリはこちら
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-08-31-2
楊令伝第5巻のエントリはこちら
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-11-12

本書の前半部分は扈三娘と聞煥章の物語がメインとなるのだが、北方謙三の書く男女の物語は正直言って苦手だ。古くさくて現実感がない様に思えてしまう。蔡福と真媛夫妻の描写の時もそうだったのだが、男女の関係を書くときの北方謙三は団塊世代丸出しで、いまいちなじめない。渡辺淳一と文章は異なっても根っこは同じに見えてしまう。
と言うことで、本書の前半部分はつまらなく、後半部分はおもしろいというのが個人的な感想だ。


本書のあらすじ。息子を拉致された扈三娘は、聞煥章にだまされて監禁され、陵辱され続ける。心が壊れかけたときに、兄・扈成の助言と協力を得て、聞煥章を惨殺し、梁山泊に復帰する。また、侯真が致死軍の首領に抜擢され、公孫勝は引退して別の諜報任務に就くことになる。
他方、禁軍は最期の戦いの前に調練を行い、童貫は単騎で子午山を訪れ、王進との会談を通じて方臘との戦いですさんでしまった自分を取り戻す。

本書のメインは扈三娘と聞煥章の因縁の決着と、童貫と王進の会談。
私の意見は最初にも書いたように、扈三娘と聞煥章の因縁の下りは団塊世代の感覚丸出しで、読んでいてわくわくする感覚もわいてこないし、共感も生じない。

逆に、後半の童貫と王進の会談については、人生最後で最大の勝負に挑む童貫と、その性格故に隠者とならざるを得なかった王進の対比がうまく描かれているので、両者に人間的な魅力を感じることができた。個人的には、この部分が本書で一番おいしい部分だと思う。

全体の流れとしては、大きな戦闘もないし、登場人物に大きな変化が訪れることもない。どちらかというと、大きな動きの前の中休みに該当するであろう。
しかし、本書のラストでは楊令の説得によって、呉用が梁山泊に復帰する。童貫との最期の戦に向けて、時計の針は着々と進んでいることが実感される。童貫に2度敗北し、3度目の戦いに挑む呉用の今後にも注目である。

☆☆☆(☆三つ)

他のBlogの反応はこちら等。
http://bookworm.at.webry.info/200810/article_22.html
http://d.hatena.ne.jp/rou_24/20080802/1217700782
http://ameblo.jp/zatsudoku/entry-10120364477.html
http://ch12039.kitaguni.tv/e669769.html
http://blogs.yahoo.co.jp/wakiabc21/25571840.html

ここまで読んだ人なら脱落することはないでしょう。最後に向けて突っ走るだけだと思っています。







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