どんな人でも無縁ではいられない:M&A新世紀 ターゲットはトヨタか、新日鐵か? [投資・マネー]
M&Aと言うと、「ハゲタカ」のようなフィクションの世界か、如何わしいマネーゲームの話で、自分の生活とは関係ない。
そんな古い意識のままでいる人に、ぜひ読んで欲しい一冊。
【目次】
1章 ファンド篇 赤いハゲタカはトヨタを買収するか
時価総額12兆円のトヨタといえども買収の可能性はある
国家ファンド(SWF)とは何か ほか
2章 敵対的買収篇 なぜマイクロソフトは任天堂を買収しないのか
キャッシュを抱えている任天堂が買収されない理由
マイクロソフトは任天堂を買収した方が良かったのではないか ほか
3章 買収技術篇 M&Aを成功に導くポイント
牛角のMBOで株主たちは何を怒っているのか
なぜNTTドコモはM&Aで最も失敗した日本企業と言われるのか ほか
4章 投資銀行篇 買収を陰で演じた投資銀行はどうなったか
投資銀行は無くなってしまったのか
投資銀行は「投資もしない」し「銀行でもない」 ほか
5章 価値創造・戦略編 新世紀のM&Aとはどういうものか
追い詰められた日本の百貨店
「ビールの王様」の本拠地を激震が襲った ほか
本書が発売された2009年からちょっと前頃は、日本企業が外資に買収される!!
と言った、センセーショナルな煽りが多かった。
ところが、本書にも書かれているように、外資に買収される主な上場企業は未だに現れていない。
それどころか、日本企業はM&Aを武器として活用するように、ゆっくりとだが確実に変わってきている。
国内の案件ではキリン・サントリーの統合こそ破談になったものの、パナソニックは三洋電機を買収した。
また、海外への投資も毎日のように報道されており、やり方も一昔前に比べると格段に洗練されてきている。
本書ではNTTドコモの海外投資がこき下ろされているが、それに学習したのか、親会社のNTTは南アフリカのディメンションデータを買収し、それなりの評価を得ている。
ではなぜ、M&Aがこんなにも多用される状況になってきているのだろうか?
そして、良いM&Aと悪いM&Aはどこで分かれるのだろうか?
それは、本書を読めば非常によくわかる。
今の日本では、どんな業種・業態においてもM&Aと他人ごとでいることはできない。
そんな時代だからこそ、本書のように、実戦に裏打ちされたわかりやすい書籍で知識を得ておくのは非常に有用だ。
☆☆☆☆★(☆4つ半)
他のBlogの反応はこちら。
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51607788.html
http://bestbook.livedoor.biz/archives/50883350.html
http://blog.livedoor.jp/haratatu8/archives/50795433.html
http://www.shoe-g.com/2009/12/post-460.html
最後に問題。
本書でM&Aの下手な会社の例としてあげられたNTTドコモは、最近宅配野菜のラディッシュボーヤを買収した。
このM&AはいいM&Aだろうか?悪いM&Aだろうか?
本書を読めば、こうした問題を考えるための取っ掛かりを得ることが出来、自分なりの回答は導くことができる。
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