天才と株式市場:天才数学者はこう賭ける―誰も語らなかった株とギャンブルの話 [経済]
ギャンブルと株式市場に挑んだ天才たちのストーリー。
タイトルに「数学者」とあるが、数学は出てこないので安心して?読むことが出来る。
私はインデックス信者だが、この本を読むと市場を超える天才が出現することは認めざるを得ない。
【目次】
プロローグ 電信サービス
1 エントロピー
2 ブラックジャック
3 裁定取引(アービトラージ)
4 サンクトペテルブルグの賭け
5 RICO法
6 破裂
7 シグナルとノイズ
本書はプロローグから第2章までがギャンブルの話になっており、第3章以降は株式市場の話になっている。
なぜ株式がメインのはずの本でギャンブルの話が出てくるのか?
それは「生き残り」という面は、株式市場よりもギャンブルのほうで必要とされ、理論が進化してきたためである。
本書の第6章ではLTCMの破綻について語られているが、破綻の原因のひとつにマーチンゲール(倍倍賭け)的思想があったことが指摘されている。
そこで筆者はケリーの法則(生き残りの最適戦略)を忘れたことが破綻につながったと指摘する。
筆者は生き残りの策が必須であるとも、最強であるとも主張しない。ただ、天才たちが市場に挑んだ姿を見ていると、生き残りのためのケリー戦略は確かに重要であると考えざるを得ない。
また、この本には市場を超えた天才が数人出てくる。確かに新しい戦略はいつかは真似されて市場を超えることは出来なくなるのだが、それでも市場の歪みを突く天才的な戦略は次から次へと出てくる。
天才にとっては市場を超えることも可能なのだろうし、そのための挑戦は刺激的なのであろう。
私は凡人であることを認識しているし、市場を超えるための努力をしたくないのでインデックス主義だが・・・・
非常に面白い本なのだが、翻訳は余り上手とはいえない。それだけが唯一の難点か。
☆☆☆★(☆三つ半)
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