一見さんお断り:λに歯がない [小説]
森博嗣のGシリーズ5作目。
amazonのレビューで評価が二つに分かれているように、自分の中でも賛否のつけがたい作品。
本書のトリックは森博嗣の持ち味が遺憾なく発揮されており、斬新。
キャラクタも従来のシリーズから引き継がれてきた持ち味が、しっかりと描かれており、シリーズ読者の期待を裏切らない作品になっている。
その反面、シリーズの主要登場人物を薄い本の中に詰め込んだため、登場人物が多くなりすぎている。
また、従来の作品からの知識がないと楽しみにくい場面や、今後の複線となるであろう場面が多く存在しており、一見さんお断りの敷居の高い作品になってしまっている。
また、森博嗣の作品はS&Mシリーズ、Vシリーズ、四季シリーズと読んでいる私でも、マンネリになってしまっていることは否めない。
デビュー作「すべてがFになる」で生み出した魅力あふれるキャラクタを発展させ続け、作風にしている森博嗣だが、諸刃の剣でマンネリ化、初めての読者のとっつきにくさという弊害も見受けられる様になってきた。
トリックの眼の付け所はいいので、シリーズから離れた作品のほうが楽しめるのでは?と思ってしまう作品である。
☆☆★(☆二つ半)
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