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日本経済が作られた過程が分かる本:戦後日本経済史 [経済]


戦後日本経済史 (新潮選書)

戦後日本経済史 (新潮選書)

  • 作者: 野口 悠紀雄
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 単行本


池田信夫blogで紹介されて、
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/7b30eb332f06ebe97c805f408d9214a7
で気になっていた本をやっと読了。
著者の野口悠紀雄氏は視点がぶれていないのがすばらしい。
【目次】
第1章 焦土からの復興
第2章 高度成長の基盤を作る
第3章 高度成長
第4章 国際的地位の向上
第5章 石油ショック
第6章 バブル
第7章 バブル崩壊
第8章 金融危機
第9章 未来に向けて
付録

本書は日本経済における80年代までの成功と、それ以降の低迷の原因を、日本経済はいまだ戦時体制にあることであると主張・説明する。
タイトルだけを見ると堅苦しく見えるかもしれないが、本書は週刊新潮にかかれたものをまとめたものであり、分かりやすい内容となっている。

本書における著者の主張で一番心に残ったのは、GHQの日本に対する無知から戦後も継続してしまった戦時経済体制を、戦後の新しい経済に作り変える機会は確実に存在した。しかし、石油危機等の偶然とバブル時における慢心などの理由から戦時体制が継続してしまい、それが現在も続いているとの主張である。

このことは日ごろのニュースを見ていると痛感される。
「デイトレーダーはバカ」と発言した次官、外資による買収を否定する裁判所、外資による買収に過剰に反応する役所。この手のニュースには事欠かない。日本の上層部(=老人たち)は戦時経済体制の存続を願っているのであろう。

その道が日本経済の緩慢な死へつながっているとしても、彼らが生きているうちぐらいは世界の中でも豊かな部類の位置をキープできるであろうから。
戦前においては戦時経済を推進するグループは、投資家の利益を否定し、企業に社会貢献を求めたため、アカと批判されたのに、現在ではそれより退化しているのが残念でならない。



この本には、戦時経済体制を放棄した後にどのような経済体制にするべきかについてはあまりかかれていない。
著者が主張する将来の経済体性については、他の著書に当たる必要がある。
たとえば、「資本開国論―新たなグローバル化時代の経済戦略」のような
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-02-05 (本Blogにおけるレビュー)

日本経済はもの作りの過去の栄光にすがって緩やかに衰退していくか、新しい経済を確立して世界で一定の地位を占め続けていくかの境目にあることは間違いない。
がけっぷちにいる割には、小さな格差に目くじら立てて碌な対策が出来ていないのが絶望的だが…

本書はそうした日本の現状をしっかりと把握させてくれる良書である。

☆☆☆☆(☆四つ)




他のブログの反応はこちらなど。
http://ftopapa.blog.ocn.ne.jp/dokusyo/2008/04/post_71f3.html
私がたまに目を通していた、生命保険立ち上げ日記さんでも触れられていました。このエントリは読んでいませんでした…
http://totodaisuke.weblogs.jp/blog/2008/03/post-741d.html
総じて皆さん高評価。やっぱり思い当たることが多いから、納得している人も多い様です。
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