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家族愛の時代劇:あかね空 [小説]


あかね空 (文春文庫)

あかね空 (文春文庫)

  • 作者: 山本 一力
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/09
  • メディア: 文庫


山本一力の第126回(2001年度下半期)直木賞受賞作。
前回のエントリで書いた「4TEEN」とは直木賞受賞作つながりであり、舞台は月島と深川でお隣である。
もっとも、本書の舞台となった時代は江戸時代中期であり、現代から約250年も前の話なのだが。


本書は江戸時代中期、田沼意次・松平定信の時代における豆腐屋の親子二代にわたる物語。
第一部は京から下ってきた主人公が江戸深川で伴侶に恵まれ、苦労しながらも豆腐屋を繁盛させる一種のサクセスストーリー。そこに家族の愛情と確執を絡めて話は進んでいく。
そして、第一部の主人公がなくなってからの第二部は、残された家族それぞれの思惑を描いたファミリードラマとなっている。

第一部は山本一力お得意の、江戸下町の情景がきっちりと描かれており、主人公が上方の人間であることから、江戸と上方の違いが明確になり、当時の江戸の雰囲気に浸ることが出来る。

第二部では時代物と言うよりも家族物。正直いって、第二部だけなら舞台が現代でも余り違和感がない。それだけに、得手不得手はあると思われるが、それでも家族のあり方を考えさせられると共に、人間がわかりあうことの難しさを実感させられるので、私としては第二部もあってよかったと思う。

本書の最後でやくざ者が「堅気衆が俺たちに勝てるたった一つの道は、身内が固まることよ。壊れるときは、必ず内側から崩れるもんだ。身内の中が脆けりゃあ、ひとたまりもねえぜ」との台詞で主人公一家を戒めるシーンがある。
この台詞は本書を読んできたものにとっては身に染みる台詞で、家族を信じることの大切さ、家族とわかりあうことの大切さをしみじみと実感させられる。

江戸の世界を楽しむと共に、家族の大切さが身に染みる。さすがの一冊である。

☆☆☆☆(☆四つ)

本Blogにおける、レビュー済みの山本一力の作品
深川黄表紙掛取帳
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-01-08
損料屋喜八郎始末控え
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-01-26

なお、同時受賞した第126回直木賞受賞作はこちら。唯川恵は読んだことがありません。
私の妻は好きなようなので、女性向けなのでしょうか。今度挑戦してみたいと思います。

肩ごしの恋人 (集英社文庫)


本書は映画化もされているようです。
他のブログの反応を読もうと思ってググッても、映画の話ばかりが出てきて参りました。

あかね空 特別版 (初回限定生産)





他のブログの反応はこちら等。
第一部と第二部のギャップについて言及されているブログが結構多いようです。確かに第一部だけだとすっきりした気持ちにはなれると思います。それはそれで物足りなさそうなので難しいところではありますが・・・
http://ameblo.jp/jettvanels/entry-10085792407.html
http://sakuzaemon.eshizuoka.jp/e83321.html
http://nothingiswhatitseems.blog.so-net.ne.jp/2008-02-22


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