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普通すぎる青春物の王道:1985年の奇跡 [小説]


1985年の奇跡 (双葉文庫)

1985年の奇跡 (双葉文庫)

  • 作者: 五十嵐 貴久
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2006/06
  • メディア: 文庫


私は、野球の表紙とタイトルから阪神タイガースの物語だと思ってこの本を借りました。
ところが読んでみると、全然タイガースは関係ない。
1985年と言う時代を舞台にした青春小説の王道だったのだ。
舞台は東京西部、小金井の公立高校。学生を管理し、成績を上げることに血道をあげる校長と、勉強も対して出来ない上に野球の才能もやる気もない、おニャン子クラブを楽しみにしているダメ高校生たちのたまり場である野球部。
そこに、成績優秀、眉目秀麗、プロからスカウトが来るぐらいの野球の才能を持った転校生が来たことから始まるストーリー。

肝心の部分については面白さを損なうため書く事が出来ないが、野球部が友情を確かめ合い、恋もしながら野球で奇跡を起こすストーリー。
高校生の心の動きや、興味の持ち方がしっかりと描かれていて、青春小説としては十分楽しめる内容となっている。

また、1985年が舞台なので、舞台となった時代を楽しめる人なら楽しさは倍増するであろう。
弱小野球部の起こす奇跡も万年最下位チームであった阪神タイガースの優勝になぞらえて、タイトルがつけられたのも想像に難くない。
ただ、私は1985年当時9歳だったので、当時の描写が正確かどうかまでは判断しかねるのだが。

逆に、若い読者にとっては、この本が出版されたのは2003年7月。2003年のシーズン以降は阪神タイガースは常勝と言えるチームになったので、この本のタイトルの意味が理解しにくいかもしれない。
当時の描写もむしろカルチャーギャップとして楽しむ読み方になるのだろう。



この小説における本当の奇跡は、高校最後の試合に向けて、今まで真剣になれなかった部員たちが、友達のために最大限の努力と結束を見せることなのだろうと思われる。
結果として目に見える奇跡は付け足しに過ぎない。
努力と友情、そして恋と王道を歩んでいるので、青春小説としては普通に面白い。

ひとつ難を挙げるとすれば、キャラクターの持ち味が少し薄めのところ。キャラクターはもう少しぶっ飛んでるほうが今風な気がする。


☆☆☆(☆三つ)




他のブログの反応はこちらなど。大傑作とはいかないが、読んでいて楽しめる。むしろもっと読みたくなる。
そういう感想が多いようです。
注意:リンク先のブログでは、この本の一番の衝撃的な部分を書いておられる方が多いようです。本を読みたい方は読んでから見ていただきたいと思います。
http://blog.livedoor.jp/anan0815/archives/51109411.html
http://blogs.dion.ne.jp/white_night/archives/6867722.html
http://pearpie.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/1985_9d54.html

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