「梁山泊」後の世界の始まり:楊令伝1 [小説]
北方謙三が「水滸伝 (19)」から3年の後を描く小説。
「水滸伝 (19)」を読んで、いてもたってもいられなくなり、本書を手に取った。
本書は、梁山泊が落城し、水滸伝の英雄が散り散りになってから3年後の世界が舞台。
首領である宋江が死んで、梁山泊は暫定的に集団指導体制になっている。
軍事の主力を率いるのは呼延灼、張清、史進。残党狩りから仲間を守る公孫勝。水軍を率いて交易を行う李俊。塩の道を復活させた燕青。諜報網を束ね続ける戴宗。そして、死んだはずの呉用は生き残っており、相変わらず嫌われながらも梁山泊復活のために相変わらずの頭脳として活動を続けている。
上記の集団指導部のほかにも、生き残ったものは多く、地味ながらも自らの信念に基づいた活動を行っている。
そうした梁山泊の残党の悩みは宋江亡き後の首領の不在。宋江が存命の時はひとつの目的に向けて活動がなされていたのに対し、本書で描かれる世界においては、梁山泊の残党は各地で自らの活動を行っており、バラバラ感が否めない。
そうした梁山泊の首領としてみなが認めているのが楊令であり、「楊令伝」と言う本書のタイトルにもあるとおり、梁山泊亡き後の中心的存在として描かれている。
本書のストーリーは、梁山泊落城後のそれぞれを描きつつ、新しい首領として楊令を求める活動が描かれている。
本書は、楊令が金の将軍としてその正体が明らかになったシーンで終わる。
梁山泊の残党を描く中で、秦明の子供の秦容や花栄の子供である花飛麟、侯健の子供侯真など、新しい世代が次々と登場しており、これからの物語に期待を持たせる内容となっている。
本書は新しいストーリーの導入部であり、これからの話によって良くも悪くもなる内容だと思われる。
しかし、水滸伝並みに面白いストーリーを期待させる導入部なので、満足度は高い。
☆☆☆☆(☆四つ)
他のブログの反応はこちら等。
既刊分を勢いで読破された方が多いようです。私はマイペースでぼちぼち読みますが……
http://yutampo613.seesaa.net/article/98319118.html
http://blog.goo.ne.jp/ioio19741212/e/924b1883b92f158bdc22053c3d5a7a86
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