泣けるのとあざとさを感じる境目:塩の街 [小説]
「図書館戦争」で有名になった有川浩のデビュー作。
あざといと感じるのか、泣けるのかの微妙な境目と思えた作品。
生きた人間が突然塩の塊になる「塩害」と呼ばれる現象が猛威を振るう東京が舞台。多くの人間が塩になり、治安が大幅に悪化したすさんだ社会で出合った、少女の真奈と元自衛官の秋庭のラブストーリー。
命を懸けて滅び行く社会を救うのか、「塩害」を恐れながら二人でひっそり生きていくのか、と言う判断をしなければならなくなったシーンは一読の価値がある。
ストーリー自体はSF風味もある世界を基調としているが、ストーリーの多くは主人公とヒロインの恋愛が軸になっている。
二人の心の動きなどは緻密に描かれているが、もともとがライトノベルであり、若干作りすぎな印象を受ける。そうした人物造形が苦手な人にはオススメできないが、ライトノベルに抵抗のない人ならすんなり入って感動できるであろう。
細部に目をやらなければ泣ける作品である。
私自身は、もっと驚きとか、ショックを楽しみたい人間なので、恋愛一辺倒のラブストーリーは肩透かしだったが、泣きたい人にならオススメできる作品になっている。
☆☆★(☆二つ半)
他のブログの反応はこちら等。
本書の小説の甘さに触れたエントリが多いようです。意外とあっさりした短めのエントリが多いのは、そういう雰囲気を持った本書の特徴なのかもしれません。
http://aktsh.seesaa.net/article/100675350.html
http://tomkage.cocolog-nifty.com/tomkage/2008/06/post_25cc.html
http://plaza.rakuten.co.jp/clotenmagic/diary/200806080000/
http://kariy0n.blog108.fc2.com/blog-entry-374.html
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