宮部みゆきの出世作:魔術はささやく [小説]
魔術はささやく 新装版 (Miyuki Miyabe Early Collection)
- 作者: 宮部 みゆき
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/01
- メディア: 単行本
宮部みゆきの出世作となった本書。
「Miyuki Miyabe Early Collection」と銘打った新訂版が出ているのにはちょっとびっくりした。
本書は、サブリミナル広告と催眠術が重要なテーマを果たすミステリ。とはいえ、催眠術のリアリティは学問・科学の分野で理解しようとすると、余りにも幼稚なものに見えてしまう。本書で語られる催眠術については、「クロスファイア」や「龍は眠る」の超能力と同じように、小説上の設定として捕らえるのが正しいだろう。
本書の見所は、ずっと世間から白眼視され、いじめられていた主人公が、最後に「魔術師」の力を借りて、人を裁く側に回ったときの判断。
ずっと抑圧される側に立っていた少年が、真実を知った上で、どのような行動に出るのかと言うシーンは固唾を呑んで見守るにふさわしい迫力を備えている。
その他、本筋以外にも、お金に対する登場人物の考え方・価値観や、主人公が特殊な技能を用いて活躍する冒険シーン、ちょっとしたことで人の運命が代わってしまう儚さなど、見所は満載である。
私は、凄いとは思いながらも、若干の違和感を持ったが、人によっては、宮部みゆきのナンバー1作品とも評価されるだけのクオリティを保っている傑作である。
そういう私ですら、もう何回目か分からないのにさっさと読んでしまうということからも、本書の凄さは分かってもらえると思う。
☆☆☆★(☆三つ半)
他のブログの反応はこちら等。
本書をリアルタイムで読んでいないはずの、若い人でも評価は高い。宮部みゆきの名と共に歴史に残る一冊なのでしょう。
http://blog.goo.ne.jp/walkerpapa/e/b959e144e6ea54d50dd6f410ad3334ce
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2008-07-06 19:21
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