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梁山泊の首領、楊令:楊令伝3 [小説]


楊令伝 三

楊令伝 三

  • 作者: 北方 謙三
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/10/25
  • メディア: 単行本



第一巻のエントリはこちら
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-06-07
第二巻のエントリはこちら
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-06-15-2

楊令伝の第三巻。
ついに童貫が南に、趙安は北に出陣し、第四巻での決戦が予感される内容になっている。

本書の見所は武人達よりも軍師達である。

まず、楊令伝第一巻から作戦が練られていた、宋の南北に敵を作り、梁山泊が弱った宋を倒すという呉用の構想がついに結実する。南の方ロウは江南において多くの州を支配下に置き、北の金&楊令は遼の大部分を駆逐し、燕雲十六州のために燕京に残る最強の遼軍と宋が向き合わねばならなくなる。

呉用の構想によって、宋の禁軍が両面作戦を余儀なくされ、童貫が南、趙安が北と分断されてしまうのだ。

他方、呉用の作を逆手にとって、燕雲十六州に独立国を作ろうとするのが聞煥章。この構想は本書ではじめて出てきたが、現実味と凄みのある構想として描かれている。楊令伝に入ってから李富との間の溝が描かれてきたが、ここではっきりと道が分かれ始めた。

その他にも、李俊が朱武を懐かしみ、水軍に軍師をほしがるシーンや、童貫が宮中での工作を侯蒙に頼るシーンなど、軍師にスポットが当たった作品になっている。

その他にも、今まで通り見所のあるシーンが多い。
楊令が梁山泊で棟梁となることを宣言するシーンや、王母の命が消えようとする中、王進と秦容へ結婚を進めようとするシーンなど、全ての描写が濃密で、キャラクターの魅力と、作者のキャラクターへの愛にあふれている。

最後に、本書で明らかになる衝撃の事実がひとつ。
本書で出てくる、遼の重臣は「楊家将」、「血涙」と続く物語における、石幻花=楊四郎の末裔なのだ。
もちろん楊令の養父、楊志は楊四郎の父楊業の末裔を称している。
北方謙三が描く中国歴史物のストーリーが絡み合うことを実感できる作品である。

☆☆☆★(☆三つ半)





他のブログの反応はこちら等。
皆さん高評価ですが、エントリで言及されているシーンは異なるようです。
見所の多い本書と言えるでしょう。
水滸伝を始めてみたときほどの感動がないのは、レベルが高いのに慣れちゃったからかな。。。。
http://d.hatena.ne.jp/yakusou/20080605/1212659145
http://ameblo.jp/zatsudoku/entry-10053540371.html
http://blog.goo.ne.jp/bluezazie/e/6900a596f44b91a1de8c47f2557dd1d0


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