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キャラクター小説として読んでも一流:写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル3 [小説]


写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉 (新潮エンターテインメント倶楽部)

写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉 (新潮エンターテインメント倶楽部)

  • 作者: 北森 鴻
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/08
  • メディア: 単行本



前作のエントリはこちら
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-02-12-1

だんだん民俗学の臭いが薄まってきた感のある本作。
それでも、ミステリとしての面白さは失われていない。

【目次】
憑代忌
湖底祀
棄神祭
写楽・考


本書は4つの短編からなっているが、一番面白かったのは表題作の「写楽・考」。ネタバレになるため、多くを語ることは出来ないが、写楽ともう一人の有名画家が物語のキーワードとなっている。
松井今朝子の「東洲しゃらくさし」など、写楽の素性をテーマにした作品は数多くあるが、本書が凄いのは、突拍子もないストーリーを、登場人物の魅力によって、スムーズに読者の胸に落としてくる点である。
トンデモな説を、登場人物の魅力によって「これもアリかな?」と思わせられてしまうのだ。

脇役のキャラクターも立っており、ミステリとしての読み応えも十分。
玄人好みで一般的な人気はさほどでもない北森鴻だが、本格ミステリと言うだけで拒絶している人は、一度偏見を取っ払って挑戦してみて欲しい。
ライトノベル顔負けの個性的なキャラクターが活躍する様を見るだけでも、十分に楽しめるはずだ。

「湖底祀」もオススメ。こちらは、悪役の言動・心理が見もの。
水戸黄門の印籠を見てから反抗するような往生際の悪い小物だが、そういう小悪党の心理・言動がうまく描かれており、最後のシーンが見もの。

他の二作も十分に購入しても後悔しないラインをクリアして居るので、ミステリ好きはもちろん、ライトノベル・キャラクター小説を好む人も、謎を無視して読んでみて欲しい。
本シリーズなら、後悔しないはずだ。

☆☆☆☆(☆四つ)




他のブログの反応はこちら等。
このシリーズは本作でとまっているため、自作を期待するエントリが多く見受けられました。
もちろん、私も期待しています。
http://ryugu.jugem.jp/?eid=259
http://blog.livedoor.jp/outside_hill/archives/51276887.html
http://lovetom.jugem.jp/?eid=348
http://yaplog.jp/ashy_ashy/archive/260
http://blog.goo.ne.jp/apheta1969/e/e68c1a2899e1a3bd98abf163d2fa6595


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