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夫婦を軸にしたほんわか家族小説:家日和 [小説]


家日和

家日和

  • 作者: 奥田 英朗
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/04
  • メディア: 単行本



奥田英朗が描く、家族をテーマとした連作短編集。家族の中でも、特に夫婦が中心に描かれており、奥田英朗らしいユーモアも交えながら、ほんわかした読んでいて落ち着く仕上がりになっている。

【目次】
サニーデイ
ここが青山
家においでよ
グレープフルーツ・モンスター
夫とカーテン
妻と玄米御飯


私が一番好きだったのは「ここが青山」。会社が倒産した夫に変わって妻が働きに出るストーリーで、「人間到る処に青山あり」の表現を使って的外れの読み方と、的外れのアドバイスを繰り返す周囲をよそに、夫婦が自分のペースで生きていく姿がすばらしい。

ちなみに、本作でもネタになっている「人間到る処に青山あり」の読み方は、「じんかん いたるところに せいざんあり」だ。決して「にんげん」でも「あおやま」でもない。

他にいいと思ったのは「家においでよ」。妻と別居した夫が、妻に勝手に決められていた内装を自分好みに作り替えて、生き生きとした姿を取り戻すというストーリー。生き生きとした姿を取り戻した夫を妻を見直すことになる。

逆に私が苦手だったのは「妻と玄米御飯」。結末は決して幸せになっていないように感じられてしまうのだ。

全般的にほんわかした幸せな夫婦・家族が描かれており、読んでいて癒されると言うか、幸せな気分になることができる。このあたりの読後感は伊坂幸太郎に通じるものも感じられる。
お気楽に楽しい小説を読んでみたいなら是非オススメしたい。

☆☆☆★(☆三つ半)


他のBlogの反応はこちら等。
(ポジティブな評価のエントリ:評価している作品別)
●「サニーデイ」
http://chiezo81251.blog33.fc2.com/blog-entry-98.html
●「ここが青山」
http://nynndaful-life.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-c77a.html
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20070513/p1
●「家においでよ」
http://rock-english.jugem.jp/?eid=115
http://koharu02.exblog.jp/8723715
●「妻と玄米御飯」
http://yaplog.jp/ashy_ashy/archive/298

(ネガティブな評価のエントリ)
http://heart03.blog43.fc2.com/blog-entry-309.html

ポジティブな評価のエントリの中では、私と同じく「ここが青山」、「家においでよ」を評価するのが多いのに加えて、「サニーデイ」も意外と人気。人それぞれで、好みの作品が違うということからも、作品のレベルはそろっているようです。








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コメント 2

ちえぞう

TBありがとうございました。
すごくわかりやすい解説ですね。

>逆に私が苦手だったのは「妻と玄米御飯」。結末は決して幸せになっていないように感じられてしまうのだ。
私は奥さん目線で読んでしまったので・・・
奥さん側からみると、それほど不幸せではないように思えますよ。
そのまま、知らん顔をされたほうが、夫婦に亀裂が入ってしまった気が。

うん・・・でも、男性、女性で主観がちがってくると
感想も違うので面白いです。

井坂幸太郎、私はまだ「重力ピエロ」しか読んでいないのですが
奥田さんを読破したら、読み始めてみようと思います。

またのぞかせてください。



by ちえぞう (2008-11-10 07:34) 

book-sk

>ちえぞうさん
コメントありがとうございます。

確かに、奥さん視点から見ると、「妻と玄米御飯」はいいストーリーですよね。自分の思いとか、もやもやが旦那に伝わった話ですし。

ただ、男性視点から見ると、これが一番違和感あるのでしょうね。
確かに、男女の視点で感想が変わるのはおもしろいものです。
by book-sk (2008-11-10 20:56) 

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