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偉大なるマンネリ:忍法創世記 [小説]


忍法創世記 (小学館文庫)

忍法創世記 (小学館文庫)

  • 作者: 山田 風太郎
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2005/10/06
  • メディア: 文庫



山田風太郎、忍法帳シリーズ。これだけで知っている人は内容の90パーセントぐらい思い浮かぶ。そういう本だ。
以下の感想も、はっきり言って他のシリーズについてほとんどそのまま流用できるのではないだろうか。本書の舞台は南北朝末期、足利義満の時代。忍者である楠の末裔菊水党が伊賀服部家と協力し、剣術の大家中条流の流れをくむ大塔衆が大和柳生家と協力して三種の神器を巡る争いを繰り広げる。

忍者の使う忍術や舞台設定に若干の独自色はあるが、他の忍法帳シリーズと大きな差異はない。今までのシリーズものが好きな人なら、十分に楽しめるだろう。

中条流の剣士なのにほとんど忍者と変わらない奇怪な技を使い、剣術対忍術と言うキャッチコピーの割には忍者同士のバトルと変わらないとか、大塔宮護良親王の孫の年齢が合わないなど、細かな点はどうでもいい。頭を空っぽにして、奇想天外な忍術バトルを楽しむ作品だ。

個人的には、横溝正史は3冊も読んでいると結構飽きてくる。ところが、山田風太郎なら何冊読んでもそれなりに楽しめる。おそらく、この馬鹿らしさと気軽さが私に合っているのだろう。
他のシリーズものが好きな人は是非読んでみてほしい。

現代のライトノベルにおけるバトルモノ、伝奇モノなんかと比べても遜色なくおもしろいので、ライトノベルに飽きてきた人も目先を変える意味で挑戦してみるのもおもしろいかもしれない。
魅力あふれるヒロイン、奇抜な術を使う忍者、必殺技を会得する主人公が伝説の宝を巡って陰謀と戦うストーリーと見ていくと、忍法帳シリーズはライトノベルのルーツの一つなのかもしれない。

ちなみに、本書は忍法帳シリーズで一番古い時代を描いた作品だが、山田風太郎の忍法帳シリーズはレベルがそろっているので、読む順番を選ばない。どの順番で読んでもおもしろいのは一つの才能だろう。

☆☆☆★(☆三つ半)

他のBlogの反応はこちら等。
(ポジティブな評価のエントリ)
http://plaza.rakuten.co.jp/gland963/diary/200807020000/
http://d.hatena.ne.jp/hirayama46/20060905/1157460391
http://d.hatena.ne.jp/Nachbar/20051022
(ニュートラルな評価のエントリ)
http://electricboogie.at.webry.info/200810/article_10.html
(ネガティブな評価のエントリ)
http://sentetsu.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-a2f6.html
http://byogakudo.exblog.jp/8516811/
http://meguriai.hontsuna.net/article/1569617.html

忍法帳の中ではイマイチ、説明が長いなどネガティブな反応が多いのにはちょっとびっくり。山田風太郎本人も出版を渋っていたという経緯もあるようですが、私は悪くないと思いました。確かにずば抜けて良いわけではないが、他と比べても遜色ない出来だと思います。








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コメント 2

先哲有言

トラックバック&リンク有難うございます。
私の場合、期待が高かったのか、それか忍法帖に少々飽きが来てしまったのかもしれません。あとは他の作品に現れるような怪人的人物が出てこないというのも物足らなさかもしれません。
by 先哲有言 (2008-11-22 10:39) 

book-sk

>先哲有言さん
コメントありがとうございます。
確かに、本書は超人的な登場人物が出てくると言うより、背景の説明に多くのページが割かれた構成になっていて、そこは微妙に他と違うと言えば違うのでしょう。

飽きてくるのは仕方ないですね。このシリーズはワンパターンですから。
by book-sk (2008-11-22 12:46) 

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