借金取りの王子 [小説]
「君たちに明日はない」の続編。
リストラ請負会社の村上真介を主人公にした、サラリーマンの悲哀を描くコメディシリーズの第2作。
【目次】
二億円の女
女難の相
借金取りの王子
山里の娘
人にやさしく
本書ではリストラ(首切り)請負会社の主人公が、様々な業界から受託をして、リストラを行う際に現れるサラリーマンの悲哀をテーマに、コメディタッチで描かれる短編集である。
「二億円の女」では電鉄系デパート、「女難の相」は生保、「借金取りの王子」はサラ金、「山里の娘」はホテルチェーンが舞台になっており、どの作品もそれなりに雰囲気を持っていて大きく破綻しているものはない。
そして、最期の「人にやさしく」では、リストラした人を他社に派遣する人材派遣業も開業するストーリーになっており、今後の展開も予感される。
作品自体はコメディタッチで気楽に読むことができるし、リストラに伴う悲哀も軽くいなされている。「サウダージ」や「ワイルド・ソウル」と言った、スリルあふれる冒険小説を得意とする筆者だが、本シリーズはそれらとは全く異なる雰囲気を持つ。
奥田英朗の「イン・ザ・プール」を彷彿とさせる出来で、むしろ、だらーーーんとして、力を抜いて読むのに適しているだろう。
ご存じのように、現在は金融危機に端を発した世界不況のただ中になり、派遣切りのような景気の悪いニュースに満ちあふれている。
筆者がどう考えているか知らないが、今の状況を是非テーマにして第3弾を書いてほしいものである。
☆☆☆(☆三つ)
本書は、シリーズ第2弾であり、是非「君たちに明日はない」を読んでから読んでみてほしい。
参考:「君たちに明日はない」のエントリはこちら
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-01-04
他のBlogの反応はこちら等。
(ポジティブな評価のエントリ)
http://blog.goo.ne.jp/takezaki7_001/e/c92b73e63e4b8ba58d9794f6ccbf8abf
http://zaq52.blog51.fc2.com/blog-entry-516.html
http://blog.livedoor.jp/e_style8/archives/51131302.html
http://blog.goo.ne.jp/heikinoheita/e/a761097ccf5e8c1888a09b212978b86c
http://tsukiniusagi.jugem.jp/?eid=628
http://blog.goo.ne.jp/mint_time/e/71c624c83eefd3936ab0e30fe458c068
かなり評価が高い。むしろ筆者の冒険小説よりも有名なのではと思わせられる。
ちなみに、最期の短編「人にやさしく」はブルーハーツの曲から取っているとのことなので、好きな人は思い出すこともあるのだろう。
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