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親の不始末を子供に付けさせる社会:子どもの貧困―日本の不公平を考える [社会]


子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)

子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)

  • 作者: 阿部 彩
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/11
  • メディア: 新書



「貧困大国ニッポン」のエントリでも書いたように、日本においても貧困層は確実に存在する。
そして、そうした貧困が子供にどういう影響を与えるのかを描いたのが本書である。

【目次】
第1章 貧困世帯に育つということ
第2章 子どもの貧困を測る
第3章 だれのための政策か―政府の対策を検証する
第4章 追いつめられる母子世帯の子ども
第5章 学歴社会と子どもの貧困
第6章 子どもにとっての「必需品」を考える
第7章 「子ども対策」に向けて


子供の貧困について論じた本書、正直言うと、岩波的・左翼的なものの見方に彩られており、弱者は無条件で救済されるべきだという、思考停止状態になっているとも言える。
しかし、子供の貧困については、そうした「駄目なものは駄目」的なアプローチが正しいのである。

おそらく筆者と私では政治的立場は異なる。しかし、子供を貧困から救えと言う主張では一致できるし、そこが、本書の素晴らしいところである。
いくら貧困に陥ったのが自己責任だとしても、親の自己責任を子供がかぶるいわれはない。ギャンブルで身持ちを崩した親でも、収入がないのに無責任に子供を産んだ親でも、子供には何の落ち度もないのだ。

日本における子供の貧困を示すとともに、世界でも子供に対する補助が薄い(そして高齢者に手厚い)ことが、しっかりとしたデータで主張されている本書は、信じる政治的立場を別にしてあらゆる人にお勧めできる一冊である。


余談ではあるが、筆者が日本で子供に対する補助が少ないことが容認されているのは「総中流社会」の幻想が生きており、子供の貧困がイメージされないからだと主張する。
しかし、私は一つ前のエントリでも書いたように、日本人の意識としては低福祉・低負担が望ましいと考えているのだと思っている。
無計画に子供を産んだシングルマザーを補助するために、増税すると言ったら反発がすごそうなんだもん……

☆☆☆☆(☆四つ)

他のBlogの反応はこちら等。
(ポジティブな評価のエントリ)
http://silkyway.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-da7c.html
http://dokushototousi.livedoor.biz/archives/587126.html
http://blog.livedoor.jp/cb1475/archives/51453790.html
http://pooh-b.sakura.ne.jp/japanese/2009/03/16-160538.html
http://d.hatena.ne.jp/fujipon/20090306

404 blog not foundさんでも触れられています
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51176910.html

本書はやっぱりすごい。感覚として、子供より高齢者が優遇されているのは誰もがわかっていると思うけど、それを詳細なデータで明確にしたところが本書の強みです。







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