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ファイナンスの基本書:金融危機の本質は何か―ファイナンス理論からのアプローチ [投資・マネー]


金融危機の本質は何か―ファイナンス理論からのアプローチ

金融危機の本質は何か―ファイナンス理論からのアプローチ

  • 作者: 野口 悠紀雄
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2009/01
  • メディア: 単行本



野口悠紀夫の新作。
タイトルには「金融危機の本質は」とあるが、金融危機の解説はほとんどされていない。
本書の内容は、副題にあるようにファイナンス理論についてだ。

【目次】
ファイナンス理論は悪魔の発明か?
第1部 金融・証券投資の大成功と大失敗(世界を揺るがすアメリカ金融危機 バフェットはなぜ大金持ちになれたか? ほか)
第2部 金融・証券投資の基礎理論(市場価格は正しいか? 株価はランダムウォークする ほか)
第3部 リスクコントロールの理論と手法(先物取引によるリスク回避 為替先物、円キャリー、FX取引 ほか)
第4部 ファイナンス理論をどう役立てるか?(日本は金融立国できるか? 結局のところファイナンス理論は役に立つか?)


本書は、ファイナンス理論についてわかりやすく説明することを目的とした本である。
ただし、「わかりやすく」と言っても、高校生ぐらいの数学の知識は必要だし、数式も多い。数式を流しても文意は汲めるのだが、数式の多さに数学が苦手な人はちょっと戸惑うかもしれない。
おそらく、筆者が学者として不正確なことは述べたくないと考えているからだろう。
その分、内容は非常に正確で、かつ、中立的だ。

タイトルは筆者が考えたのではないかもしれないが、金融危機の解説書ではないにもかかわらず「金融危機の本質は何か」とタイトルに付けた理由は、金融危機後の世論がファイナンス理論は悪だ、経済学は悪いものだと言う一方的な流れになっているので、それに反対したかったのであろう。

第4部第17章「結局のところファイナンス理論は役に立つか?」のサブテーマの一つに(ファイナンス理論は)「社会科学の女王か?金儲けの手段か」と言うものがある。
ここが筆者の一番にいたかったところで、世間ではファイナンス理論は楽してもうけるためのろくでもない理論と思われているが、実際は純粋な学問であり金儲けの役には立たないよ。という思いがひしひしと伝わってくる。

金融危機についての解説と思うと肩すかしを喰らうが、ファイナンスの入門書としては非常に優秀でわかりやすい。高校生、大学の教養課程、経済学部卒以外の社会人にはお勧めできる。

☆☆☆☆(☆四つ)

余談だが、本書で筆者が家計における投資として勧めているのは、低コストの国際分散投資(要はインデックス投資)である。
金儲けを考えずに、リスク低減を主とすれば一番妥当な結論だと思われる。


他のBlogの反応はこちら等。
(ポジティブな評価のエントリ)
http://shun-kisaragi.blogspot.com/2009/04/blog-post.html
http://blog.livedoor.jp/hisakadom/archives/51191014.html
http://youyou8.cocolog-nifty.com/app/2009/03/post-f443.html
http://ameblo.jp/hidakamasaki/entry-10239382050.html
http://bestbook.livedoor.biz/archives/50722062.html
皆さんわかりやすいとの評価。ファイナンス理論の入門としてはかなり良い本だと思います。







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