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議論の歴史が中心:ベーシック・インカム入門 [社会]


ベーシック・インカム入門 (光文社新書)

ベーシック・インカム入門 (光文社新書)

  • 作者: 山森亮
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/02/17
  • メディア: 新書



ネット上では話題になることも多いベーシック・インカムだが、書籍化されているものは少ない。
本書はそうした少ない中の一冊である。


【目次】
第1章 働かざる者、食うべからず―福祉国家の理念と現実
第2章 家事労働に賃金を!―女たちのベーシック・インカム
第3章 生きていることは労働だ―現代思想のなかのベーシック・インカム
間奏「全ての人に本当の自由を」―哲学者たちのベーシック・インカム
第4章 土地や過去の遺産は誰のものか?―歴史のなかのベーシック・インカム
第5章 人は働かなくなるか?―経済学のなかのベーシック・インカム
第6章 “南”・“緑”・プレカリティ―ベーシック・インカム運動の現在


本書はベーシック・インカムに関する議論及び運動の歴史的経緯を中心に述べている。
第1章、第2章が運動の歴史、第4章、第5章は議論の歴史、そして第6章が現在の状況という構成になっている。
第5章などは「経済学の中のベーシック・インカム」となっているが、ここも歴史的経緯の説明が中心だ。経済学的にベーシック・インカムを実現可能かどうかなど、制度実現に向けた具体的なデータ・論説は少ない。

そういう意味では、本書が一番向いているのは、ベーシック・インカムという言葉が聞かれ出したけど、いったいどういうモノだろうか?と興味を持った人である。

私としては、国際競争が激しい中で日本だけベーシック・インカムを導入して国際競争力を維持できるのか?とか、ベーシック・インカムが実現された場合に忌避されそうな職業に自衛官・警察官・清掃等のインフラ系職業が多く含まれそうだが、それでも制度は成り立つのか?と言った導入に向けての実践的疑問を解決したかったのだが、本書はそうした実地の政策の方向を向いていない。
本書が見ているのは開くまでも学問的なテーマなのだ。良くも悪くもアカデミックな学者が書いた本である。

ベーシック・インカムに初めて興味を持った人や、学問的な視点からベーシック・インカムに迫りたい人にはお勧め出来る。
逆に、実践的な話が好きな人には若干肩すかしになってしまうだろう。

☆☆★(☆二つ半)

他のBlogの反応はこちら等。
(ポジティブな評価のエントリ)
http://flowrelax.blog43.fc2.com/blog-entry-536.html
http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/52550150.html
http://blog.livedoor.jp/naofumi_nishida/archives/236934.html
http://d.hatena.ne.jp/takashi1982/20090427/1240839521
http://d.hatena.ne.jp/riocampos/20090218/p2

404Blog Not Foundでも取り上げられていた
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51185023.html

もう少し実践・実装を向いた本だったらなお良かったのだが……
それでも、ベーシック・インカムについて言及した本は貴重なので、本書の価値も十分に見いだすことが出来る。







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