SSブログ

マンションの価値はあっという間にゼロになる:マンション崩壊 —あなたの街が廃墟になる日 [社会]


マンション崩壊 —あなたの街が廃墟になる日

マンション崩壊 —あなたの街が廃墟になる日

  • 作者: 山岡 淳一郎
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2006/03/23
  • メディア: 単行本



分譲マンションの問題点について書かれた本。
筆者は社会派のライターなので、経済的視点には欠けるが、その分臨場感を持ってマンションを買った住民が不幸に陥る様が描かれている。

【目次】
プロローグ 溶ける超高層、危険な郊外
第1章 史上最悪の欠陥マンション群
第2章 住民を翻弄する資産価値幻想
第3章 ニュータウン開発の残照
第4章 学園都市の景観五〇年戦争
第5章 荒れる郊外と現代版隣り組
エピローグ 第三の眼


本書は、マンションが廃墟になる課程を生々しく描写している。
第1章、第2章では旧都市整備公団の欠陥住宅を例に取り、マンションが欠陥住宅であった場合、住民はどのような目に遭うのかを描いている。
欠陥住宅を掴まされた住人は、なるべく責任を逃れようとする売り主に対して専門的な知識を駆使してマンションが欠陥であると言うことを立証する必要がある。そして、仮に売り主の責任が認められて立て替えになる場合であっても、長い間不便な仮住まいをし、さらに固定資産税を払い続ける必要がある。
それでも売り主が立て替えを認めてもらえればまだラッキーな方だ。補修という名の一時しのぎでお茶を濁されてしまうこともあるし、欠陥を立証できずに何もしてもらえないことだってあり得る。

第3章の冒頭では、4/5以上の賛成によって立て替え決議がなされたマンションに住む立て替え反対派の悲劇を描く。年を取って、建物に愛着を持ち、新たなローンなど組めないにもかかわらず安い値段で自室を売り渡すか、立て替えに賛成しなければならない葛藤を味わうことになる。

そして第4章では景観に関して古くからの住民ともめたあげくに、景観条例が制定され、「再建築不可」となってしまった悲しいマンションについての悲劇が語られる。
筆者は景観重視派のようで、高層マンションを建築することに否定的な語り口をするのだが、大金を払って購入したマンションが条例によって立て替えることが出来なくなったり、マンションを買っただけなのに「被告」として訴えられるのは十分に悲劇だ。

最後の第5章では、郊外型マンションが外国人を筆頭とした低賃金労働者の巣窟となり、荒廃していく様が描かれる。これは日本に限ったことでもなく、外国のゲットーの例にも当てはまるグローバリズムの元で発生する世界的な現象だ。1度そうした住民が入ってきてしまえば、コミュニティは分断され、マンションの価値は暴落する。

本章では一抹の希望としてコミュニティがうまく機能し、マンションとしての価値を保っている例も紹介されるが、全てのマンションにおいて隣人に恵まれるわけではない。そもそも、隣人が全く価値観の異なる外国人の場合だって珍しくないご時世なのだ。


「夢のマイホーム」としてマンションを買うことは、このご時世かなりリスキーだ。
しかも、マンションは買った後が一番大事。そのことがよくわかる一冊である。
マンション購入を考えている人は必読だ。

☆☆☆(☆三つ半)

他のBlogの評価はこちら等。
(ポジティブな評価のエントリ)
http://fund.jugem.jp/?eid=310
http://kaminari.cocolog-nifty.com/gorogoro/2007/06/post_cff1.html
http://csrfinance.cocolog-nifty.com/mirai/2006/03/post_8e9b.html
http://gijutsu.exblog.jp/5508988
http://d.hatena.ne.jp/quelo4/20070331/p1
マンションに資産価値なんか無いことがよくわかる一冊。
慌ててマンションを買う前に、読んでおくことをオススメします。
マンションを買っちゃった人は精神安定上、読まない方が良いかも







カスタム検索

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。