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FNHの行く末は?:クラウドの衝撃――IT史上最大の創造的破壊が始まった [社会]


クラウドの衝撃――IT史上最大の創造的破壊が始まった

クラウドの衝撃――IT史上最大の創造的破壊が始まった

  • 作者: 野村総合研究所 城田 真琴
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2009/02/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



IT界流行No.1のバズワード「クラウド」の実体と将来予測について書かれた本。
私を含め、IT関係の仕事に就いている人には当たり前のことが多いし、目新しいこともない。それでも、以下で述べるとおり、本書で得るものは大きい。

【目次】
第1章 姿を見せ始めた次世代コンピューティング・モデル
第2章 雲の中身はどうなっているのか
第3章 ネット企業がリードするクラウド・コンピューティング
第4章 ICT業界の巨人たちはネット企業に追いつけるか
第5章 クラウド・コンピューティング時代の企業IT戦略
第6章 クラウド・コンピューティングで何が変わるのか
第7章 クラウド・コンピューティング時代へ向けて超えるべきキャズム


本書は2008年あたりまでの米国の状況を中心に、クラウド・SaaS・PaaS・HaaSといった現在のIT業界をまとめている。

クラウド・コンピューティング。この言葉を聞いたことのないビジネスマンは少ないだろう。しかし、クラウドの説明を上手に出来る人もまた少ないはずだ。
これは、この業界にありがちなように発言者によって「クラウド」の意味するところは微妙に異なっており、明確な定義が存在しないこともその原因の一つにある。
また、コンピュータ・ITになじみの薄い人にとっては「クラウド」の概念と、何故それが騒がれるほど重要なことなのかが理解しにくいことも原因となっているだろう。

本書がすごいのは、全くの初心者に対しても理解できるように、「クラウド」の内容と、それがどのような重要性を持っているかをわかりやすく解説しているところにあるのだ。

私はIT関連の仕事につているので、本書に書かれていることのほとんどは既知の知識である。
しかし、その知識をなじみの薄い人にもわかりやすく説明した本書は、読んだだけの価値が十分にあると感じられた。本書を読めば、クラウドは産業構造を変えるだけの力を秘めていることがどんな人にも伝わるはずだ。

そして、本署でクラウドを知った人は思うだろう。
日本のシステム・インテグレータはどうなるの?Webでものを売っている企業はどうなるの?

その答えはまだ出ていないし、本書でもほのめかされる程度の表現になっている。
インテルとの競争に負けて公的資金を投入されるまでになった、半導体産業の二の舞を演じてしまう可能性も否定できないが、逆に日本独特の高品質サービスに支えられた新境地を開拓できる可能性もわずかながら残っている。

このように、どんな人に対しても日本のIT業界の未来を考えさせる本書は、「クラウド」を知らなかった人にはもちろん価値があるし、IT業界に勤めていて「クラウド」の内容も・威力も常識として知っている人にとっても、わかりやすく説明するサンプルとして十分な価値を持っている。

☆☆☆★(☆三つ半)

他のBlogの反応はこちら等。
http://kimsemiblog2009.blogspot.com/2009/06/it.html
http://d.hatena.ne.jp/lemoned-icecream/20090409/1239280240
http://wheatchaff.exblog.jp/9629470/
http://book-guinness.seesaa.net/article/120781247.html
http://d.hatena.ne.jp/ikuo5710/20090208/1234098002
http://ikadoku.blog76.fc2.com/blog-entry-521.html

本書をきっかけにIT業界、コンピュータ業界の行く末について考えているエントリが多い。
そうした大きなことを考えさせる力が本書には存在する。







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