劇画でみる日本の歴史:太平記―マンガ日本の古典 [漫画]
さいとうたかをが描く太平記。
マンガ日本の古典という、教養っぽいタイトルながら、劇画の巨匠らしくエンタテイメントとして十分に成立させている。
著者の後書きにあるように、映像では数万の大群を描くのは難しく、マンガの方が太平記を描くのに向いている。筆者のその言葉を表すように、本書は太平記の魅力を十分に引き出していると言えよう。
本書は足利尊氏を主人公とした「太平記」の正統をマンガに仕立てている。
キャラクターはさいとうたかをの特徴有るキャラクターで、非常に男らしいと言うか、男臭い活力に満ちている。
足利尊氏などは中東でテロを起こしそうな人相で描かれているが、そのあたりはご愛敬。
分量も、吉川英治「私本太平記」等に比べると漫画文庫3冊にまとめた本書はうまく圧縮しており、それだけに取っつきやすい。
本書を読んで太平記を面白いと思えば、吉川英治なり、森村誠一なり、原典なりにステップアップするのがいいだろう。
子どもにも、時間のない大人にも、初めてで取っつきにくいと思っている人にもオススメできる。
☆☆☆★(☆三つ半)
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