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感情で判断すると損をする:はじめての行動経済学 [経済]


経済は感情で動く―― はじめての行動経済学

経済は感情で動く―― はじめての行動経済学

  • 作者: マッテオ モッテルリーニ
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2008/04/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



経済学で行動経済学という言葉が聞かれるようになって、結構時間が経つように思われる。
行動経済学について書かれた記事・本も数多く出ていると思うが、私が目にした中では、本書がダントツにわかりやすくて、面白い。

【目次】
パート1 日常のなかの非合理
  1 頭はこう計算する
   一〇〇〇円がいつも一〇〇〇円とはかぎらない
   選択肢が多いほど混乱する
   プラス面に注意を向けるか、マイナス面に注意を向けるか
  2 矛盾した結論を出す
   客の気持を惑わす
   三つあると真ん中を選ぶ
   何が迷いを生じさせるか
  3 錯覚、罠、呪い
   優先順位がひっくり返る
   非合理は高くつく
   自分のものになると値が上がる
   現状は維持したい
   払ったからには参加しなきゃ損
   競りに勝っても喜べない――「勝者の呪い」
   数値の暗示に引っかかる――「アンカリング効果」
  4 「先入観」という魔物
   私たちの頭は当てにならない
   だれもが持つ錯覚
   非合理だからこそ人間なのだ
  5 見方によっては得
   問題の提示の仕方が判断を決める
   イメージに左右される
   死亡率より生存率で
  6 どうして損ばかりしているの
   雨の日のタクシーはどうして早々と引きあげるのか
   得している株は売り、損している株は手放さない
   してしまったことを後悔するか、しなかったことを後悔するか
  7 お金についての錯覚
   実収入か額面か
   自分の給料より同僚の給料のほうが気になる
   一〇〇万円得した喜びより、一〇〇万円損したショックのほうがはるかに大きい
パート2 自分自身を知れ
  8 リスクの感じ方はこんなに違う
   つじつまの合わない答えを出す
   数字を情緒で判断する
   「一%」と「一〇〇人に一人」の違い
   中身を多く見せたいとき、カップは小さいほうがいい?
  9 リスクとの駆け引き
   相対的リスクと絶対的リスク
   統計に表れた数字が読めない
  10 知ってるつもり
   プロになるほど過信する
   自信過剰がはめる罠
   成功すると自分のため、失敗すると他人のせい
   自分に都合のいい面だけを見たがる
  11 経験がじゃまをする
   「そうなるはず」という思いこみ
   結果よりプロセスに目を向ける
  12 投資の心理学
   リスクを加味してリスクを減らす
   近過去から近未来を占う
   なじみの企業に投資したがる悪い癖
   事情に明るいほどうまい投資ができるという錯覚
   売買がはげしいと損をする
  13 将来を読む
   読みを誤る
   前と後で判断が異なる
パート3 判断するのは感情か理性か
  14 人が相手の損得ゲーム
   対立作戦ゲーム
   協同作戦ゲーム
   理論と実際の違い
  15 怒れるニューロン
   脳が苦汁を飲むとき
   相手の頭のなかを読む
   復讐は何よりも快楽のため
  16 心を読むミラーゲーム
   神経生物学から見たお金のゲーム
   共感の生み親はミラー・ニューロン
   倫理的判断とニューロンの役割
  17 理性より感情がものを言う
   理性には限界がある
   感情は不可欠なサポーター
   セミとアリとハトの教訓
  18 人間的な、あまりにも人間的なわれわれの脳
   おしまいに――怠け者の経済学


本書は、パート1とパート2で、頭で考えて居るつもりでも感情によって動かされてしまうことで、人々がよく犯す間違いをわかりやすく例示・解説している。そして、パート3では人の脳の働きを解説することで、人間が感情によって物事を判断するメカニズムを解説している。
この中で、パート3は若干理系よりの部分もあって読むスピードは落ちるのだが、投げだそうとはこれっぽっちも考えないで済む程度の難易度だ。

そして、わかりやすさ以上に本書がすごいのは、行動経済学が私たちの経済活動に役立つことを肌で実感させてくれるところである。
本書曰く、脳は感情に支配されて多くの頻度で誤った判断をする。しかし、誤りのパターンは決まっているので、それを知ることで誤りを回避することが出来る。
これこそが、本書の神髄と言えるだろう。

個々の事例については、本書を読むときの楽しみにしてもらいたいのであえて解説しないが、解説されている例の多くは思い当たる節のある”感情に支配された間違い”だ。
本書を身につければ、ホモ・エコノミクスには成れずとも「金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか」とは違った意味で、賢い消費者に成れることは間違いない。

☆☆☆☆☆(☆五つ。これは満点でしょう)

他のBlogの反応はこちら
(ポジティブな評価のエントリ)
http://blog.goo.ne.jp/my-toypoodl-goo/e/91fb2b8ae7419a435a8d9919bbd29480
http://78150018.at.webry.info/201003/article_1.html
http://no-regret-life.seesaa.net/article/124967841.html
http://d.hatena.ne.jp/takaochan/20080618/1213720066
http://souiunogaii.seesaa.net/article/123819475.html
http://d.hatena.ne.jp/taka_2/20100224
いい本で評価も高いのだけど、日本語のタイトルはちょっと失敗しているね。
署名+著者名で検索してもノイズが多く引っかかるし、内容がないBlogを多く拾ってしまう。
もうちょっと目立つことを考えても良かったのでは??






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