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白河の清きに魚のすみかねて もとの濁りの田沼こひしき:ニッポン経済の「ここ」が危ない!―最新版・わかりやすい経済学教室 [経済]


ニッポン経済の「ここ」が危ない!―最新版・わかりやすい経済学教室

ニッポン経済の「ここ」が危ない!―最新版・わかりやすい経済学教室

  • 作者: 竹中 平蔵
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/02
  • メディア: 単行本



竹中平蔵と幸田真音の対談本。
タイトルには「最新版」とあるが、出版は2008年で、安倍政権から福田政権に変わった頃の話。
なのだが、今読むと妙に含蓄に富んでいて、竹中平蔵のすごさがよくわかる。
地方の中堅企業オーナーでもある麻生政権の旧態依然とした経済政策と、労働組合に支えられた社会主義志向の鳩山政権を経験した今読むと、非常に楽しむことが出来る。

【目次】
第1章 構造改革、是か非か
  東京は上海に抜かれる
  「格差」を過剰に気にする日本人
  デュアルエコノミーはどこへ向かうのか
  期待喪失の時代
  政治のポピュリズム化
  グローバル化の影
  小泉改革が後退している
  出でよ、「新・政策新人類」
  三つの構造改革
  正社員が搾取している!?
  「オランダの奇跡」に学べ
  福沢諭吉『学問のすゝめ』
  ジェラシー・ジャーナリズムの蔓延
  「パワーのパラドックス」の法則
  「湯の子」を大事にする社会
  文化・観光ビジネスに打って出よ!
  役所ベースの「町おこし」はだめ
  五十年観光周期説
  公共事業はやっと他国並み
  経済財政諮問会議の「為にする試算」
第2章 金融立国ニッポンへの道筋
  サブプライムローン問題のいまこそチャンス
  成功したロンドンと香港から学ぶこと
  最高の戦略集団がいる金融の世界
  百兆円の外貨準備金をいかに運用するか
  「委員会設置会社」が会社を変える
  職業としての「CEO」がいない
  逆行する地方の金融再編
  アジア・ゲートウェイ構想
第3章 資産運用の時代と新しいライフスタイル
  日本人が資産運用に無知な理由
  短期投資と長期投資
  寄布か税金かを選べるジユウ
  「団塊世代」の可能性
  「ミレニアム・ビレッジ」の試み
第4章 頑張れニッポン
  リスク拡散とキャピタル・クランチ
  なぜアメリカに投資が集中するのか
  「三つの環境変化」にどう対処するか
  産業革命に匹敵する「デジタル革命」
  日本独自のプラグマティズム


本書を読んで思ったのは、日本人は豊かなのか?ということ。
有権者の多くは、日本人は十分に豊かなのだから、経済成長を求めすぎずに、精神的豊かさを求めようと思っているはず。
でも、その思い込みは正しいのだろうか?
竹中・幸田のペアはその思い込みを否定する。

私が本書を読んで最も素晴らしいと思ったのはその点で、経済成長から背を向ける世論に対して、その間違いを真っ向から指摘している。この”成長への努力”が今の日本に一番欠けている重要なものであることが、本書からはよくわかる。
この姿勢は「経済成長って何で必要なんだろう? 」なんかでも書かれているように、経済をわかっている人なら常識でもあることなのだが、世の中には何故か伝わっていない。

経済成長の重要性と、成長が可能である日本の底力を感じることが出来るだけで、本書は十分にすばらしいと言える。

反面、竹中・幸田の指摘する個々の問題点は今から振り返ってみると全然解決されていない。
どころか、逆行して悪化しているものすらある。
そこは、読んでいて非常に暗くなってしまう箇所だ。

タイトルにも書いたように、小泉政権は世論から激しく拒絶されて民主党政権が出来たわけだが、ここまで景気が悪いと世の中の人も小泉政権を懐かしむ気持ちが出てきたのでは無かろうか?
そうなってくれるといいんだけどなぁ……。

☆☆☆(☆三つ)

他のBlogの反応はこちら
(ポジティブな評価のエントリ)
http://book-review.cocolog-nifty.com/review/2008/04/post_efd3.html
http://d.hatena.ne.jp/mahata/20091025/1256441370
http://bestbook.livedoor.biz/archives/50461761.html
http://kuramae-japan.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-c330.html
ポジティブに評価しているエントリが多い。
それなのに、なんで小泉政権がこんなに人気無いのだろうか……。





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