サイコ・サスペンスにして本格ミステリ：向日葵の咲かない夏

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

• 作者: 道尾 秀介
• 出版社/メーカー: 新潮社
• 発売日: 2008/07/29
• メディア: 文庫

【参考】
筆者の「シャドウ」について、私の書いたエントリはこちら
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2010-02-16

サイコ・サスペンス仕立ての本格ミステリ。
現実と幻想の間を行ったり来たりする作りで、最後まで結論を読み切ることが出来ない、秀逸なミステリ。
なのだが……。

私が筆者の作品を読むのは「シャドウ」に次いで２作目。
「シャドウ」を初めて手に取ったときは、その怖さとミステリとしての完成度に感動し、一刻も早く同じ筆者の作品を読みたいと思って図書館で予約していた。

本書も、完成度としては同じくらい素晴らしいし、ただ怖いだけではない見事なミステリに仕上がっている。

それでも「シャドウ」を初めて読んだ時ほどの衝撃は存在しない。
その理由は、系統が似ているうえに、同じぐらいの完成度であるためなのだ。
この、”同じぐらいの完成度”というのがくせ者で、まるで美味しいけど同じ味が続いて飽きてくるような食事を食べているような感覚に囚われてしまうのだ。

純粋にミステリが好きな人ならともかく、読書家としてミステリも楽しむという程度の人にはどっちか一冊でいい気がする。
とはいえ、作品自体はいい出来なので、「シャドウ」と読んだ順番が逆だったら真逆の感想を書いていたと思われる。

☆☆☆☆（☆四つ）

他のBlogの反応はこちら
（本書をポジティブに評価するエントリ）
http://raisin2007.blog121.fc2.com/blog-entry-959.html
http://yamaneko005.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-e2de.html
http://wizwiz.blog10.fc2.com/blog-entry-4151.html
（本書に対して微妙な評価をするエントリ）
http://noirnemo.blog81.fc2.com/blog-entry-103.html
http://blogs.yahoo.co.jp/across_the_lake_moon/43249900.html
http://blog.goo.ne.jp/kazunariokamoto1978/e/e9c3000670c627de9dc7edc941be743c

いや、良い小説なんですけど……やっぱり、一般受けはしないでしょうね。
そして、期待しすぎると肩すかしを食らうかもしれません。

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