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米国政治のルーツと奥深さ:見えないアメリカ [社会]


見えないアメリカ (講談社現代新書)

見えないアメリカ (講談社現代新書)

  • 作者: 渡辺 将人
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/06/17
  • メディア: 新書



アメリカ人の政治観がよくわかる一冊。

●中部・南部の人はほとんど保守派
●宗教を熱心に信仰しているのは保守派
●銃規制を主張するのはリベラル
●人種的マイノリティはほとんどリベラル
といった、ステレオタイプなアメリカ観を持つ人は、本書を読んでアメリカの複雑さにショックを受けて欲しい。
わたしも、上記ステレオタイプアメリカ観を持つ人だったのだが、本書でアメリカの複雑さ、奥深さを知って、少し米国の見方が変わった。
それと共に、我が国との比較においても、非常に興味深い指摘がいくつも存在した。

【目次】
第1章 「保守」と「リベラル」
第2章 都市―移民のシェルター
第3章 南部―怒りの独立王国
第4章 信仰―共同体にひそむ原理主義
第5章 メディア―大衆化の舞台装置
終章 自由主義―アメリカ精神の奥底


本書を読むと、第1章からいきなり引き込まれる。
アメリカの保守派には、日本でもイメージの強い宗教保守の他に、経済保守、外交における保守派など様々な分類が存在し、その中でお互いに交わることはほとんど無い。
日本でも、尖閣諸島問題で中国に抗議する人と、小泉首相を支持した規制緩和・小さな政府主義、農村で自民党にずっと投票し続けてきた人が必ずしも同じ政治信条ではないのと同じように、米国の保守派も様々な観点から共和党を支持しているのだ。

この点は、我が国を考えてみると当たり前のことでもあるのだが、外国のことだと意外と当たり前だと捉えることが出来ない。その視点を改めてくれるだけでも、本書には十分に価値が有る。

もう一つ本書で面白かったのは、米国人の”反ワシントン”感情。
中央に毒されているというイメージがつくと、その政治家のイメージダウンになってしまう。
大統領に意外なほど知事出身者が多く、上院議員が少ないのもこのイメージのせいだという。

この点は、日本の政治家が永田町どっぷりでもさほどイメージが悪くならないのと対照的で面白い。
日本では永田町より霞ヶ関に反感が集まっている。
このあたりは、両国の国民が実際の権力がどこにあるかを敏感に感じ取っているからかもしれない。

このように、米国の政治を理解すると共に、それを鏡にして我が国の政治に対する問題提起にもなる。
現在の中間選挙で猛威をふるったティーパーティー運動の理解も深まるので、いつ読んでも面白いのだが、タイムリーにもお薦めできる一冊。

☆☆☆☆★(☆四つ半)

他のBlogの反応はこちら
(本書をポジティブに評価するエントリ)
http://d.hatena.ne.jp/huyukiitoichi/20100724/1279949408
http://docnosuke.livedoor.biz/archives/51213404.html
http://kousyoublog.jp/?eid=2530
http://ameblo.jp/mcguinness/entry-10137754578.html
http://yaplog.jp/hondatoku/archive/98
http://d.hatena.ne.jp/PineTree/20080730/p1

アメリカの政治が外から見える以上に複雑なのは、いろいろな人がほぼ2つしかない政党のどちらかに一致点を見いだしている(見いださざるを得ない)からなのでしょう。
ゆくゆくは日本もそうなってくるんだと思いますが、現状は2大政党の特徴がイマイチ明確になってないですよねぇ……。





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