人間を夢中にさせる白い粉:砂糖の世界史 [歴史]
「プエルトリコ」というボードゲームを知っているだろうか。
中米の島を舞台に、インディゴ・砂糖・珈琲などのプランテーションを作って島を発展させることをテーマにした非常に面白いボードゲームだ。
ところが、そうした砂糖のプランテーションには黒人奴隷が付き物だった。
このように、砂糖を切り口に、大航海時代以降の世界史を描いたのが、本書である。
【目次】
プロローグ 砂糖のふしぎ
第1章 ヨーロッパの砂糖はどこからきたのか
第2章 カリブ海と砂糖
第3章 砂糖と茶の遭遇
第4章 コーヒー・ハウスが育んだ近代文化
第5章 茶・コーヒー・チョコレート
第6章 「砂糖のあるところに、奴隷あり」
第7章 イギリス風の朝食と「お茶の休み」―労働者のお茶
第8章 奴隷と砂糖をめぐる政治
第9章 砂糖きびの旅の終わり―ビートの挑戦
エピローグ モノをつうじてみる世界史―世界史をどう学ぶべきか
本書で語られる、砂糖を切り口にした世界史のエピソードには興味深いものが多い。
冒頭で触れた、砂糖と切り離すことのできない黒人奴隷の物語もそのひとつ。
砂糖プランテーション、工場で働かされるための黒人奴隷が、現在中米に黒人の国が存在するルーツになっている。
また、砂糖と茶の話も興味深い。
中国にしろ、日本にしろ、茶の原産地では茶に砂糖を入れて飲むことはなかった。
東アジアでは砂糖の入手が難しく、高級品であったためだ。
ところが、世界の富を集める大英帝国では、アジアの茶とアフリカ・中米の砂糖の両方を合わせて飲むことのできる贅沢が可能なだけの富が存在した。
本来、茶に砂糖という組み合わせは、日本酒に金箔を浮かべるようなもので、味よりも贅沢を追求した飲み方だったのだ。
このエピソードは、バンコクのコンビニで緑茶を買ったところ、砂糖がたっぷり入っていて驚いた経験のある私には、非常に興味深かった。当時の成金趣味は、21世紀の現在では当たり前の料理になってしまっている。
その他にも、米国人が茶の輸入を拒否した事件(ボストン茶会?事件)やイギリスにおける食品輸入関税(穀物法)と国民の豊かさの話など、経済史の教科書で取り上げられるような事件にも触れられており、経済史のさわりに振れて、国の豊かさと自由貿易の関係を知ることもできる。
ジュニア新書なので、若干物足りないのだが、反面、読みやすいということでもある。
砂糖をタップいりれた紅茶や珈琲・ココアなどと共に読んでみるといいだろう。
☆☆☆(☆3つ)
他のBlogの反応はこちら。
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http://hutagoyama.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-7b58.html
http://blogs.yahoo.co.jp/tak1627s/38518025.html
冒頭で紹介したボードゲーム
ややヘビーですが、ゲーマーにはオススメです。
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