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煽りの経済学:ランズバーグ先生の型破りな知恵 [経済]


ランズバーグ先生の型破りな知恵

ランズバーグ先生の型破りな知恵

  • 作者: スティーブン・E・ランズバーグ
  • 出版社/メーカー: バジリコ
  • 発売日: 2010/01/08
  • メディア: 単行本



AIDSを減らすには、セックスの相手を増やせば良い。
裁判員裁判で、人種を理由に有罪か無罪かの心象を決めるのは推奨されるべきだ。
バグダッドの博物館からイラク崩壊のどさくさで盗まれた遺跡はなんの価値もない。

といった、一見極論。でも、考えれば味がある内容が経済学的観点から主張されている経済学短篇集。

本書で書かれている内容は、いわゆる常識とはかけ離れているが、筋は通っていて文章は面白いという、煽り文章で人気を集めるアルファブロガーが書きそうな内容だ。

【目次】
第1章 日々の経済学
 セイファー・セックスのすすめ
 産めよ、増やせよ ほか
第2章 ニュースの読み方
 人種プロファイリングと新人種主義
 災害援助とバグダッドの略奪 ほか
第3章 すべてを正す方法
 政治を正す方法
 司法制度を正す方法 ほか
第4章 費用と便益の実証経済学
 生と死にかかわる問題
 死者と胎児の経済学


経済学の基本的考え方の一つ、費用便益分析。
それが本書を貫く、経済学的な一本の筋である。

その費用便益分析をキーワードに、「児童労働は禁止されるべきではない」とか、「選挙区は地域ではなく、アルファベット順の名簿で区切るべき」とか言った、一風変わった主張が繰り広げられる。

頭の硬い爺さんなどが本書を読むと、「屁理屈ばかりこねて」で終わってしまう。
だが、常識という先入観を取っ払ってみれば、どの主張も相当に味わい深い。
人前ではおおっぴらに賛成できなくても、自分の心のなかでは賛成できる主張も多いだろう。

この手の経済学と常識のギャップを書いた本は多いので、若干食傷気味になっている人もいるかも知れないが、本書の出来はその中でもかなり良い方。
知的な割には、簡単に読めるので、細切れな移動時間の読書などに向いている。

☆☆☆★(☆3つ半)

少し残念なのは翻訳。経済学的な補足が多めに入っていると、なお良かったと思う。

他のBlogの反応はこちら。
http://ikadoku.blog76.fc2.com/blog-entry-807.html
http://gipsified.seesaa.net/article/147487680.html
http://d.hatena.ne.jp/nagoyan2005/20100510/p1
http://ohtake.cocolog-nifty.com/ohtake/2010/02/post-33cd.html
http://ufit.blog3.fc2.com/blog-entry-1279.html
http://libertarian.seesaa.net/article/140341967.html

本書の主張に全部賛成するわけではないけど、本書の主張を頭ごなしに全否定する人とは友だちになりたくない。そんな内容です。





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