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「でわのかみ」が出世する理由:日本辺境論 [社会]


日本辺境論 (新潮新書)

日本辺境論 (新潮新書)

  • 作者: 内田 樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/11
  • メディア: 新書



yahoo経由毎日新聞より
<小宮山厚労相>たばこ1箱700円に意欲  小宮山洋子厚生労働相は5日の記者会見で、たばこ税について「毎年一定額上げていくべきだ。少なくとも700円台まではたどり着きたい」と述べ、大幅引き上げを求めていく考えを示した。小宮山氏は超党派の禁煙推進議員連盟の元事務局長。愛煙家の野田佳彦首相は財務相当時の7月、たばこ増税について「税制を通じた『おやじ狩り』みたいなもの」と発言したことがある。

 たばこ税は10年10月に過去最大幅となる1本あたり3.5円引き上げられ、現在のたばこ価格は1箱(20本入り)400円程度。小宮山氏は「世界の平均は600円台。日本は価格が低い」とし、増税による税収減を危惧する意見には「税収のためではなく、健康を守るためにやるべきだ」と反論した。財務省所管のたばこ事業法についても「(財源確保目的の法律ではなく)健康の法律として厚労省が持てるようになればいい」と所管の見直しを提起した。【山田夢留】


この記事にはおかしい所がある。

それはどこか?本書を読めば、わかるようになる。

【目次】
1 日本人は辺境人である
 「大きな物語」が消えてしまった
 日本人はきょろきょろする ほか
2 辺境人の「学び」は効率がいい
 「アメリカの司馬遼太郎」
 君が代と日の丸の根拠 ほか
3 「機」の思想
 どこか遠くにあるはずの叡智
 極楽でも地獄でもよい ほか
4 辺境人は日本語と共に
 「ぼく」がなぜこの本を書けなかったのか
 「もしもし」が伝わること ほか


冒頭の例題の答え。
厚労相はなぜ、「世界の平均に比べて、日本(のタバコ代)が低い」ことを理由にしたのだろうか?
よくよく考えると、この厚労相の答弁は、答えになっていない。

国民の健康を目指して喫煙率を下げたいなら、反社会的勢力の密輸が割りに合わない金額がいくらだから、そこまで値上げする。とか、JTの経営が傾かない最大限の金額がいくらだから、そこまで値上げする。とか、あるべき値段を想定した上で、そこまで値上げするいうのが正しい論法だろう。
所得の中央値も、国民の平均年齢も違う外国でいくらだから、そこまで値上げするというのはよくよく考えると説得力がない。

だが、その説得力のない答弁を誰も不思議に思わない。
これこそが、日本人の国民性であり、私たちが日本人である理由なのだ。

筆者は日本人の国民性に辺境というキーワードを持って補助線を引き、わかりやすく解説している。
筆者も言うように、この考え方は「文明の生態史観」などでも触れられているように、特に新味のあるものではない。
だが、この手の本は、繰り返し読むことによって、日本人の国民性に対する理解を身につけることができる。

類似本を読んだ直後ならオススメできないが、その手の本がご無沙汰で、前に読んだ本の免疫が切れてきた人には間違い無くオススメの一冊だ。

☆☆☆☆(☆4つ)

他のBlogの反応はこちら。
http://blog.goo.ne.jp/orionisorionis/e/8d5b9fbf8ac388c9f3d4f8181d894de8
http://threeace.blog118.fc2.com/blog-entry-892.html
http://shi-fuji.dreamlog.jp/archives/1561750.html
http://sugaya.otaden.jp/e87240.html
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/01/post-1146.html
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51325097.html

ベストセラーだけあって、本書に関するエントリは豊富。
いろんな意見があって、エントリだけを読んでいっても、日本人について理解が深まっていくかも。





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