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これから来るのはゲームの停滞期かもしれない:教養としてのゲーム史 [ゲーム]


教養としてのゲーム史 (ちくま新書)

教養としてのゲーム史 (ちくま新書)

  • 作者: 多根 清史
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2011/08/08
  • メディア: 新書



テレビゲームの歴史を並べた本。
新書だけあって、抜けも多い(らしい)けど、最低限は網羅している印象だ。

【目次】
第1章 固定画面の中で―ビデオゲームの誕生と連鎖するアイディア
 ポン・クローンの感染爆発
 『ブレイクアウト』から始まった「ひとり遊び」 ほか
第2章 スクロールが生み出す世界―『スクランブル』『ゼビウス』から『スーパーマリオブラザーズ』へ
 固定画面からスクロール方式へ
 『スクランブル』と「地形」の誕生 ほか
第3章 RPGの想像力のデザイン―『ゼルダ』の完成度、『ドラゴンクエスト』の凄さ
 「デジタルの冒険」の原点にあるTRPG
 『D&D』から生まれた『ZORK』と『ウィザードリィ』 ほか
第4章 シミュレーションと欲望―『信長の野望』から『ラブプラス』まで
 シミュレーションは現実をクソゲーにする?
 国産SLGは「大人の武将ごっこ」から始まった ほか


TVゲームが世に出て、数十年。
すでにゲームの世界は”歴史”とも呼ぶべき蓄積が存在する。
そうした蓄積をさらっと眺めるのが本書の狙い。
そして、その狙いは私のようにゲームに詳しくない人にでも通じている。

ゲームの歴史を概観するという目的は達成しているし、その意味では良書だろう。

だが、私は本書を読んで、ゲームの未来に暗い影を感じてしまう。
今までのテレビゲーム業界は、未開の大地を開拓するように、面白ければ何でもありの精神で様々な名作を打ち立ててきたし、その結果は本書に挙げられた偉大なゲームを見ればよくわかる。
ところが、本書のように歴史を概観するような出版までなされるようだと、残されたフロンティアは少ないように見える。現に、本書の後半部分では、ヒットしたゲームの続編や改良作が多く出てきている。
”成熟産業”となったゲームが、過去のゲームファン向けのニッチから脱して、新たなファンを獲得できるか?
その点について本書は触れていないし、本書から明るい未来を読み解くことはできない。

私はゲーム業界の門外漢だが、本書を読むと、あまり先行きのよい業界ではないように見えてしまう。
内容は初歩を抑えて悪くないものの、そこから読み取れる未来は暗い。そんな一冊であるような印象を受けた。

☆☆☆(☆3つ)

ちなみに、海外の最先端ゲーム情報がないのは本書の大きなマイナス。
人口の減ってきている日本よりも、将来の市場は明らかに海外にありだと思うのだが。

他のBlogの反応はこちら。
http://upatea.sakura.ne.jp/log/eid1240.html
http://d.hatena.ne.jp/t2k/20110912/1315835308
http://d.hatena.ne.jp/fujipon/20110823
http://www.ringolab.com/note/daiya/2011/09/post-1501.html
http://d.hatena.ne.jp/obelisk2/20110823/1314061237
http://curry-blog.cagami.net/?eid=1071293

「20代のゲームファンにはピンと来ないかもしれない」という趣旨のエントリが多い。
私がそもそも気になったのは、「20代のゲームファン」なんて、存在するの?というところ。
その数がそこそこのボリュームで存在するなら、ゲームの将来は安泰でしょう。
ですが、続編を心待ちにする旧来からのユーザばかりなら……。あとは残存者利益を狙ったニッチで厳しい市場になっていくのでしょう。





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