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3.11以降の日本人に:ベイジン [小説]


ベイジン〈上〉 (幻冬舎文庫)

ベイジン〈上〉 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 真山 仁
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2010/04
  • メディア: 文庫



ベイジン〈下〉 (幻冬舎文庫)

ベイジン〈下〉 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 真山 仁
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2010/04
  • メディア: 文庫


3.11前に本書を読んでいたら、どんな感想を書いただろう? たぶん、今とはぜんぜん違う感想を書いていたはずだ。

本書のテーマは中国の原子力発電所。
発売当時に読んでいたなら、中国にある勢いと、後進国から先進国へ移り変わる段階の危なっかしさをうまく表した小説だと評価していたことだろう。

だが、チェルノブイリ以降最大の事故は、大連ではなく、福島第一で発生した。

今これを読んだら、日本の思い上がりと、原発の恐ろしさが印象に残る。
小説の中身はキャラクターも舞台も一流で、十分にエンタテイメントとして成立している。
だが、今の日本人が本書を読むと、このテーマ設定に特別なものを感じずにはいられないはずだ。

3.11以降の日本人だからこそ、味わえる味がある。
ショッキングなので、誰にでもお薦めできるものではないが、小説を小説として楽しめる人なら間違いなくお薦めできる。

☆☆☆☆(☆4つ)

他のBlogの反応はこちら。
http://blog.livedoor.jp/star_ring/archives/51874131.html
http://amenodoubutuen.at.webry.info/201109/article_1.html
http://blog.livedoor.jp/sanashiato/archives/51130537.html
http://www.shoe-g.com/2011/03/post-528.html
http://pub.ne.jp/kawaiga/?entry_id=1571558
http://anonet.blog21.fc2.com/blog-entry-736.html
本書のエントリを読むときは、日付に注意してみてください。
そういう見方をすれば、エントリの論調が二分されていることがよくわかります。





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コメント 3

KEITA

トラックバック有難うございます。
この小説が、小説で終われば良いのですが…。
『ベイジン』の技術者は意識が高く、
言わば使命のように働いていますが、
これから先細りするであろう
日本の (もしかしたら世界の)
原子力発電の未来の若い技術者は、
人材不足になる可能性がある。
その時 人間に、このエネルギーを使いこなせるのか
今よりその不安が増す事は、間違いない。
by KEITA (2011-09-29 06:51) 

igaiga

トラックバックありがとうございました。
ちょうどワタシは北京五輪の開会式直前に読んでいて、ちょっと気持ちがリンクしてしまったんですよね。
3.11の後に読むとまた全く違った気持ちになったかも知れません。
「小説」としては本当にのめりこむくらい面白くてハマった1冊です。
3.11の後だったらもしかしてこんなに楽しんで読めなかったのではないかと思います。
by igaiga (2011-10-01 13:59) 

book-sk

>KEITAさん
>igaigaさん
コメントありがとうございます。

個人的には、日本から原発をなくしてしまうことが、いいことなのかどうかはわかりません。(本書の主人公のような、原発技術者もいなくなってしまうのですから……)。
ただ、今読むとどうしても、福島のことを思わずにはいられない、微妙な感情を巻き起こす一冊でした。
by book-sk (2011-10-01 21:36) 

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